表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/160

突然魔法少女? 53

 耳を劈く叫び声、誠は意識を取り戻したが、それと同時に腹部に蹴りを受けて痛みのあまり悶絶した。

「大丈夫?誠ちゃん」 

 目を開けると目の前に寝巻き姿のアイシャがいる。ハッとして誠は起き上がった。まず自分が全裸であること、そして二回目の蹴りを繰り出そうとしている胸を隠すことも無くパンツしか履いていない要の姿を見て誠はそのまま部屋から飛び出した。

 廊下で鉢合わせたのは菰田だった。口をあけたまま全裸の誠を見つめる菰田。誠は押さえきれず生理現象で大きくなった股間を隠しながら部屋を確認した。確かに自分の部屋である。だが、そこには寝巻き姿のアイシャとパンツだけの要がいる。

「あのなあ、神前。野郎ばかりの男子寮だけどな、今じゃ貴様の護衛ってことでクラウゼ少佐や西園寺大尉、そしてあのカウラ・ベルガーさんまで……」 

「呼んだか?」 

 そう言って誠の部屋から顔を出したのはいつも寝巻き代わりにジャージを着て寝るカウラだった。

「オメエが騒ぐからだろ?」 

「なによ!誠ちゃん思い切り蹴飛ばしてたのは要ちゃんでしょ!」 

「馬鹿野郎!こいつの手が……胸に……」 

 誠の部屋の中からは暴れているアイシャと要の声が響いている。

「おい、全裸王子。ちょっと面貸せ!」 

 そのまま誠を引っ張って行こうとする副寮長の菰田をカウラが押しとどめた。

「すまない、菰田!これは……その……私が……」 

 そう言って手を合わせるカウラ。カウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖である菰田がカウラに手まで合わせられて言うことを聞かないわけが無い。

「そ、そうですね。神前!全裸で廊下を歩くのは関心しないぞ!では!」 

 さわやかな笑顔を残して去っていく菰田。ただその変身の早さに呆然とする誠も、すぐに自分が全裸であることを思い出して前を隠す。

「神前……貴様は酒が入るとすぐ脱ぐくせに……とりあえず入るぞ」 

 そう言って誠の手を引いて部屋に入るカウラ。中に入るとさらなる混乱が待ち構えていた。じりじりと間合いを縮めるピンク色のネグリジェ姿のアイシャとパンツ以外何も隠すところが無い格好でファイティングポーズをとる要。

「いい加減にしろ!人の部屋で暴れるんじゃない!それと西園寺、胸を隠せ!」 

 カウラの言葉にアイシャと要はようやく手を下ろした。

「ああーかったりい。まあいいや、アタシは部屋に戻るわ」 

 そう言うとそのままの姿で部屋を出て行く要。

「良いんですか?」 

 箪笥から取り出したパンツをすばやく履いて一息ついた誠がカウラにたずねる。

「ああ、あいつはいつも朝起きるとあの格好でシャワーに行くからな」 

 カウラの言葉に誠は言葉を失った。この寮には50人以上の男性隊員が暮らしている。そこに裸の美女が現れたら……しかし、考えてみればこの寮に要をどうこうできる度胸のある隊員はいるわけも無いわけで、できる限り彼女を避けて動いている諸先輩の苦労に誠は心の中で謝罪した。

「それよりなんで……って僕がなぜ全裸か……はいつものことだからいいんですけど、なんでお三方が僕の部屋に……」 

「そんなことは重要なことじゃないの!ついに我々は勝ったのよ!」 

 高らかに携帯端末を掲げるアイシャ。カウラと誠は何のことかわからず呆然と目の前で今にも踊りだしそうな様子のアイシャを眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ