突然魔法少女? 51
「かなめしゃん!」
突然目の前に立つふらふらの誠に魅入られて要はむきになって睨み返した。
「は?なんだよ」
そして突然誠の手は要の胸をわしづかみにした。その出来事に言葉を失う要。
「このおっぱい、僕を誘惑するらめにおっきくらったってアイシャらんが……」
誠の言葉に自分の胸を揉む誠よりも先に要は視線を隣のアイシャに向ける。明らかに心当たりがあると言うように目をそらすアイシャ。
「らから!今!あの……」
「正気に戻れ!」
そう言って延髄斬りを繰り出す要だが、いつものパターンに誠はすでに対処の方法を覚えていた。加減した要の左足の蹴りを受け流すと、今度はアイシャの方に歩み寄る。
「おお、今度はアイシャか……」
要は先ほどまで自分の胸を触っていた誠の手の感触を確かめるように一度触れてみた後、アイシャに近づいていくねじのとんだ誠を見つめていた。
「何かしら?私はかまわないわよ、要みたいに心が狭くないから」
アイシャの発言に部屋中の男性隊員が期待を寄せたぎらぎらとしたまなざしを向ける。それに心震えたと言うようにアイシャは誠の前に座った。
「あいひゃらん!」
完全にアルコールに支配された誠を見つめるアイシャ。だが、誠は手を伸ばすこともせず、途中でもんどりうって倒れこんだ。
「大丈夫?誠ちゃん」
拍子抜けしたアイシャが手を貸す。だが、その光景を見ている隊員達はわざとアイシャが誠の手を自分の胸のところに当てようとしているのを見て呆れていた。
「らいりょうぶれす!僕はへいきらのれす!」
そう言うとアイシャを振りほどいて立ち上がる誠。だが、アイシャは名残惜しそうに誠の手を握り締めている。全男性隊員の視線に殺意がこもっているのを見てランですらはらはらしながら状況を見守っていた。
「ぜんぜん大丈夫に見えないんだけど……部屋で休んだほうがいいんじゃないの?」
「こいつ……部屋に連れ込むつもりだよ」
要に図星を指されてひるむアイシャ。だが、誠はふらふらと部屋を出て行こうとする。
「どこ行くのよ!誠ちゃん」
「ああ、カウラひゃんにあいさつしないと……こうへいらないれひょ」
要とアイシャは顔を見合わせる。こんなに泥酔していても三人の上官に気を使っている誠に、それまで敵意に染められていた周りから一斉に同情の視線が注がれることとなる。
「神前……苦労してんだな」
ランはそう言いながら他人事のように誠達を見つめていた。
「おい!上官だろ?介抱ぐらいしろよ」
要の言葉にランは首を振るとグラスの底に残ったビールを飲み干す。
「大丈夫なんじゃねーのか?いつもはオメー等にKOされて言えなかった神前の本音も聞きてーしな」
明らかに他人を装うランに要は頭を抱えて自分の行為を悔いた。