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突然魔法少女? 46

「よう!」 

 突然会議室の扉が開き、入ってきたのは嵯峨だった。雪駄の間抜けな足音が会議室にこだまする。

「隊長、なんですか」 

 島田の作業を注視していたアイシャが顔をあげる。嵯峨は頭を掻きながらそれを無視すると娘の楓などを眺めながら誠に歩み寄る。

「やっぱり、お前はたいしたもんだなあ……」 

 誠の書き上げたイラストをしみじみと見つめる嵯峨。その後ろからタバコを吸い終えて帰ってきた要が珍しそうに眺める。

「叔父貴がなんで居るんだ?」 

「仲間はずれかよ、傷つくよなあ……」 

 嵯峨はそう言いながらふらふらと端末を操作している島田の方に歩いていく。

「あちらはシャムが空回りしていたけどこっちはかなり組織的みたいだねえ」 

 そう言うとアイシャが立ちはだかって見えないようにしている端末のモニターを、背伸びをして覗き込もうとする。

「一応秘密ですから」 

 アイシャに睨みつけられて肩を落す嵯峨はそのまま会議室の出口へと歩いていく。

「ああ、そうだ。一応これは本職じゃないから、あと三十分で全員撤収な」 

 そう言い残して出て行く嵯峨。誠がその言葉に気がついたように見上げれば窓の外はすでに闇に包まれていた。

「え、五時半?」 

 アイシャの言葉に全員が時計に目をやった。

「省エネ大臣のシン大尉が来ないうちってことですかね」 

 手だけはすばやくタイピングを続けながら島田がつぶやいた。誠もこれが明らかに仕事の範囲を逸脱しているものだということは分かっていた。もうそろそろ配属四ヶ月を過ぎて、おそらくこの馬鹿騒ぎは嵯峨と言う中央から白い目で見られている危険人物が隊長をやっているからだろうとは理解していた。おかげで保安隊の評価が中央では著しく低いことの理由もみてとれた。

「じゃあ誠ちゃんとカウラ、パーラとサラ。ちょっと片付け終わったら付き合ってくれるかしら」 

「アタシはどうすんだ?」 

 要が不機嫌そうに叫ぶ。同じように島田が手を止めてアイシャを見上げ、楓と渡辺がつまらなそうな視線をアイシャに投げる。

「もう!いいわよ!来たい人は着替え終わったら駐車場に集合!続いての活動は下士官寮でと言うことでいいわね!」 

 そんなアイシャの言葉に全員が納得したと言うように片づけを始める。誠はデザイン途中のキャラクターの絵をどうしようか悩みながらペンを片付けていた。

「途中みたいだが良いのか?」 

 カウラはそう言うと描き途中の絵を手にしていた。何枚かの絵を眺めていたカウラの目がエメラルドグリーンの髪の女性の姿を前にして止まる。

「これは私だな」 

 そう言いながら複雑そうな笑みを浮かべるカウラ。『南條家長女』と誠の説明書きが入ったその絵の女性の胸は明らかにカウラのそれに似て平原だった。

「神前……まあ良いか」 

 以前のカウラには聞かれなかったような明るい調子の声がしたのを確認すると誠は肩をなでおろした。

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