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突然魔法少女? 43

「でも良いんですか?あまさき屋にはお世話になっているのは認めますけど……これって春子さんですよね、演じる人は」 

 誠は涼やかな表情と胸などを刺付きの薔薇の蔓で覆っただけの胸のあたりまで露出した姿の女性の描かれた紙をアイシャに差し出す。

「すげー!本当にオメーが描いてるんだなこれ」 

 声を上げたのはランだった。だが、アイシャはすぐにそれを手に取り真剣な目で絵を見つめていた。

「おっと!これはいいのか?胸とか露出が多すぎだろ?これじゃあ春子さん受けないんじゃねえの?」 

 そう言って要は誠の頭を叩く。その手を振り払って誠は次のキャラを描き始めた。

「確かにこれはやりすぎだな……」 

「これで行きましょう!」 

 カウラの言葉をさえぎってアイシャが叫ぶ。すぐさまその絵はパーラとサラに手渡された。

「要ちゃんの言うとおりとりあえず軍にはこれを流して宣伝材料にすれば結構票が稼げそうね。シャムちゃんは女性キャラが苦手だから男ばかりでむさくるしい各部隊の票はこちらが稼げるはずよ!あとは……」 

 要をまじまじと見つめるアイシャ。その雰囲気にいたたまれないように周りを見回す。だが、要の周りには彼女を見るものはほとんどいなかった。それどころか一部の彼女の視線に気がついたものは『がんばれ!』と言うような熱い視線を送ってくる。

「いつアタシがそんなこと……」 

 そう言う要をアイシャが睨みつける。要が一斉に『お前がやれ』と言う雰囲気の視線を全身に受けると頭を掻きながら身を引く。アイシャは誠が修正した設定画をめくってその中の一つを取り出した。

「それ、アタシだな」 

 そんなランの言葉に再び厳しい瞳をランに向けるアイシャ。だがすでにランは諦めきった様子を見せていた。それを満足げに見下ろすアイシャ。

「なんだよ、アタシがなんかしたか?」 

 最後の抵抗を試みるラン。だがアイシャの瞳の輝きにランは圧倒されて黙り込んでいた。

「中佐。お願いがあるんですけど」 

 その言葉の意味はカウラと要にはすぐ分かった。要は携帯端末を取り出して、そのカメラのレンズをランに向ける。カウラは自分が写らないように机に張り付いた。

「なんだ?」 

「ぶっきらぼうな顔してくれませんか?」 

 アイシャの意図を察した要の言葉にランは呆然とした。

「何言い出すんだ?」 

 ランは呆れながら要を見つめる。

「そうね、じゃあ要を怒ってください」 

「は?」 

 突然アイシャに怒れといわれてランは再び訳がわからないという顔をした。

「あれですよ、合成してイメージ画像に使うんですから。さあ怒ってください」 

 すでにアイシャの意図を察している上でアイシャの狙いに否定的なカウラまでそう言いながら笑っている。気の短いランは周りから訳のわからないことを言われてレンズを向けている要に元から悪い目つきで睨みつけた。

 合成されたシャッターの音がする。要はすぐさまそれをアイシャに渡した。

「これ結構いい感じね。採用」 

「なんだよ!いったい何なんだよ!」 

 ランはたまらずアイシャに詰め寄った。

「静かにしてね!」 

 そう言ってアイシャはランの唇を指でつつく。その態度が腹に据えかねたと言うようにふくれっつらをするランだが、今度はカウラがその表情をカメラに収めていた。

「オメー等!わけわかんねーよ!」 

 ランは思い切り机を叩くとそのままドアを乱暴に開いて出て行った。

「怒らせた?」 

「まあしょうがねえだろ。とっとと仕事にかかろうぜ」 

 そう言うと要は誠の描いたキャラクターを端末に取り込む作業を始めた。それまで協力する気持ちがまるで無かった要だが、明らかに今回のメインディッシュがランだと分かると機器としてアイシャの部下を押しのけて画像加工の作業を開始するために端末の前に座っていた。

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