表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/160

突然魔法少女? 38

「ちょっと……隊長。話が……」 

 帳面を手に出て行こうとする嵯峨の肩に手を伸ばすラン。

「ああ、お前もやるんだ……」 

 そこまで言ったところで帳面を取り上げて出て行くラン。さすがの嵯峨もこれには頭を掻きながら付いていくしかなかった。だが開かれたままの扉からは意外な人物が顔を出した。

「戻ってきたのね!」 

 まるで決闘でも始めそうな笑顔のシャム。その頭には猫耳が揺れる。

「ふっふっふ……。はっはっは!」 

 アイシャが挑発的な高笑いをした瞬間、吉田はシャムを呼び寄せた。そして二人でしばらく密談をしたあと、不意に吉田が立ち上がった。それを見ると気がすんだようにそのまま部屋を出て行くアイシャ。

「カウラ。ちょっと許大佐から呼び出しが……」 

「いちいち許可は必要ないんじゃないですか?」 

 カウラは明華の名前が出てきている以上あまり強く言えなかった。

「じゃあ!」 

 吉田とシャムが部屋を出て行く。誰がどう見ても先ほどの賭けの件であることが分かるだけに、カウラの表情は複雑だった。とりあえず諦めて画面に向かった誠だが、一通のメールが運行部班長名義で到着していることに気づいてげんなりした。運行部班長はアイシャである。先ほどの吉田とシャムの動きを見ていればアイシャが動き出すのは当然と言えた。

『昼食の時にミーティングがしたいからカウラを連れてきてね。ああ、要は要らないわよ』 

「誰が要らないだ!馬鹿野郎!」 

 突然叫んだ要に呆然とする楓と渡辺。隣で新聞を見ていたアンも要の顔をのぞき見ていた。

「もういーや。お前等も好きにしろよ!」 

 嵯峨を引き連れて戻ってきたランは諦めたようにそう言った。そとでピースサインをした嵯峨が帳面を手に戻っていく。その様子を見ていらだったような表情を浮かべていた要の顔色が明るくなった。

「それってさぼっても……」 

「さぼってってはっきり言うんじゃねーよ。どうせ仕事にならねーんだからアイシャと悪巧みでも何でもしてろ!」 

 そう言って報告書の整理を続けるラン。要は立ち上がってカウラに視線を送る。助けを求めるようにランを見つめるカウラ。

「ベルガー、ついてってくれよ。こいつ等なにすっかわかんねーからな」 

 カウラはうなだれる。要と誠、そしてカウラは席を立った。ドアの脇からサラが中を覗き込んでいるのが見えた。

「ごめんね!誠ちゃん、カウラちゃん。アイシャがどうしてもって……」 

 通信主任、サラ・グリファン中尉が申し訳無さそうに頭を下げている。

「それよりオメエが何でこっちの陣営なんだ?」 

 要はサラの後ろにいる島田に声をかけた。

「いやあ、あちらは居心地が悪くて……」 

 そう言い訳する島田だが、付き合っているサラに引き込まれたことは誠達には一目で分かった。

「どこで遊んでるんだ?アイシャは」 

 カウラの言葉にサラは隊長室の隣の会議室を指差した。サラと島田について会議室に向かう。会議室の重い扉を開けるとそこは選挙対策委員会のような雰囲気だった。

 何台もの端末に運行部の女性オペレーターが張り付き、携帯端末での電話攻勢が行われている。その中には技術部の小火器管理責任者のキム・ジュンヒ少尉や管理部の男性事務官の顔もあった。

「なんだ、面白そうじゃねえか」 

 そう言って要はホワイトボードに東和の地図を書いたものを見ているアイシャに歩み寄った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ