突然魔法少女? 22
「なるほどねえ……とりあえず意見はこんなものかね」
そう言うと吉田は一同を見渡した。
「良いんじゃねーの?」
ランはそう言うと目の前のプリントを手に取った。
「隊員の端末に転送するのか?」
そう言いながら手にしたプリントを吉田に見せ付ける。
「ああ、わかってますよ。とりあえずアンケートはネットで知らせますが、記入はそれを使った方が良いですね」
「そうね、自分の作ったアンケート用紙を捨てられたら隊長泣いちゃうから」
吉田の言葉に頷くリアナ。
「隊長はそう言うところで変に気が回るからな」
頷くマリア。それを見てランがここにいる全員にプリントを配る。
「じゃあ、神前。お前がこいつを配れ」
そう言ってプリントの束を誠に渡すラン。
「そうだよね!誠ちゃんが一番階級下だし、年下だし……」
「そうは見えないがな」
いたずらっぽい視線をシャムに送る要。そんな要の言葉にシャムは口を尖らせた。
「ひどいよ要!私のほうが誠ちゃんより……」
「じゃあ、配りましょう!」
口を尖らせるシャムを無視してアイシャは誠の手を取って立ち上がった。それに対抗するようにカウラと要も立ち上がる。
「おう、全員にデータは転送したぜ。配って来いよ」
吉田の声を聞くとはじかれるようにアイシャが誠の手を引っ張って部屋を出ようとする。
「あわてるなよ。それよりどこから配る?」
「決まってるじゃないの!島田君のところから行くわよ」
そう言ってコンピュータルームを後にするアイシャ。誠はその手にひきづられて寒い廊下に引き出された。要とカウラもいつものように誠の後ろに続く。そのまま実働部隊の詰め所で雑談をしている第四小隊と明石を無視してそのままハンガーに向かった。
身を切るような冷たい風が四人を包んだ。
「おーい、シュペルター中尉!」
アイシャは階段の上から一人で誠の機体を見ながらポテトチップスの袋を片手に和んでいる技術部法術関連技官であるヨハン・シュペルター中尉に声をかけた。
その肥えすぎた巨体がアイシャの方を振り向く。
「ああ、これの件ですか?」
ヨハンはそう言うと左腕の携帯端末を指差した。
「そう、それ!」
そのままアイシャは誠を引っ張って階段を下りていく。ヨハン以外の整備員の影が見えないのを不審に思いながら誠は引っ張られるままアイシャに続いて階段を下りた。