突然魔法少女? 16
「やっぱり僕も……」
その箱を見て落ち込む誠。
「テメエのデザインじゃねえか!アイシャとシャムと一緒に考えたんだろ?それにしてもアイシャが何でこういう格好しねえんだよ!」
思わず衣装を投げつけんばかりに激高する要。
「私がどうかしたの?」
そう言って控え室に入ってきたアイシャがコスプレ中の面々を見て回る。明らかにいつも彼女が見せるいたずらに成功した子供のような視線がさらに要をいらだたせた。
「おい、大丈夫なのか?受付の方は」
心配そうにランがアイシャを見上げている。
「大丈夫ですよ。キムとエダ、それに菰田が仕切ってくれるそうだから……」
その視線はダンボールを手に更衣室に入ろうとする要に向けられた。
「早く着替えて見せてよ。久しぶりにキャプテンを見たい気が……」
アイシャがそこまで行ったところでブラシを投げつける要。
「テメエ等!後で覚えてろよ!」
捨て台詞と共に更衣室に消える要。額に当たったブラシを取り上げてとりあえずその紺色の長い髪をすくアイシャ。
「あのー、僕はどこで着替えればいいんでしょう……」
「ここね」
「ここだろ」
「ここしかねーんじゃねーの?」
誠の言葉にアイシャ、楓、ランが即座に答える。
「でも一応僕は男ですし……」
そう言う誠の肩に手をやって親指を立ててみせるアイシャ。
「だからよ!ガンバ!」
何の励みにもならない言葉をかける彼女に一瞬天井を見て諦めた誠はブレザーを脱ぎ始める。
「あのー……」
『何?』
誠をじっと見ている集団。明華、ラン、リアナ、楓、カウラ、アイシャ、シャム、小夏、春子。
「そんなに見ないでくださいよ!」
「自意識過剰なんじゃねーの?」
「そんなー……クバルカ中佐!」
一言で片付けようとする副部隊長に泣きつこうとする誠。だが、健一も鈴木もニヤニヤ笑うだけで助け舟を出す様子も無かった。
ついに諦めた誠は仕方なくズボンのベルトに手をかけるのだった。