突然魔法少女? 152
「とりあえず胴丸で……サイズからか……誠!身長は?」
嵯峨が突然振り返る興味深げに覗きこんだ端末には徒歩侍の姿が映っている。明らかに雑兵と言う姿に少し誠はがっかりした。
「一応186センチですけど……雑兵役……武将じゃないんですね」
「ああ、将校クラスは大鎧だが下士官はすべて雑兵の格好になるんだ」
「そうだよね、誠君下士官だから!」
カウラの言葉にサラが乗っかって誠に笑いかける。
「神前、でかすぎだ。特別注文になるな」
そう言いながら端末に入力を続ける嵯峨。キーボードを打つ嵯峨をはじめてみる誠だが、それは驚異的なスピードだった。すぐさま鎧の各部分の設定などを入力して完成予想画面が映し出される。
「へえ、様になるわね」
「良かったわねカウラちゃん」
パーラとリアナがなぜかカウラに声をかける。それまで画面を見つめていたカウラは突然の言葉に頬を赤らめて下を向いた。
「で、問題のクバルカ中佐殿……どれにするか?」
嵯峨が体を引いてランからも画面が見えるようにする。ランはしばらく頭を掻いた後、仕方が無いというように画面を見つめた。
「あれ?兜は?」
「おい、女武者は鉢巻とかが普通だぞ。リアナもそうだよな」
「ええ、私は赤糸縅の大鎧に鉢巻よ」
リアナの言葉で凛々しく騎馬で疾走する姿を想像して納得する誠。カウラや要、アイシャも将校であるところから考えれば、彼女達も恐らく源平の女豪傑の巴御前のような姿になるだろうと思って心が躍るのを感じた。
「やっぱり兜がねーと格好がつかねーよ」
「贅沢言いやがって」
苦笑いで再び端末のキーボードを叩く嵯峨。
「納期を考えると……緋縅の甲冑の部品が余ってるみたいだからこれで行くか?」
「仕方がないんじゃないっすか?」
ランの一言でようやく落ち着く。
「ああ、そうだ。島田も今回は将校扱いだな……」
「私が連れてきます!」
嵯峨の言葉に飛び出していくサラ。誠は嵯峨の横から手を出して自分の鎧の完成予想図を見た。
「やっぱり雑兵だな」
カウラの一言。誠は大きく落ち込んだ。
「良いじゃないの。乗馬の練習とかしなくて良いし、それに大鎧は結構動きにくいのよ」
リアナのフォローだが、所詮は祭りのコスプレである。格好が良い方を選びたくなるのが人情だった。
「まあ、がんばれ」
肩を叩く嵯峨。そこで再びドアのロックが解除された。