突然魔法少女? 151
「なんだ、ありゃ?」
駆け出していく要とアイシャ、そして入れ替わりに嵯峨が顔を出す。それまでアイシャに何かを吹き込まれてニヤニヤしていたサラとパーラが突然の闖入者に思わず目をそらす。
「隊長、何か用が?」
立ち上がったラン、それを見ると思い出したように嵯峨がランを手招きする。
「ああ、あと神前も来いや」
「僕もですか?」
不思議に思いながら誠も立ち上がる。それを見てリアナは手を打った。
「ああ、本題の方ね」
「本題?」
リアナの言葉にランが首をひねる。
「この映画を上映するのは今度の節分よ。呼び物は隊長の提案で始まった時代行列。そこで着る鎧兜を選ぶのよ」
「ああ、そういうこった。まあクバルカのは特注だな」
嵯峨の言葉に元々目つきの悪いランの目つきがさらに悪くなる。
「しょうがねえだろ?まあおかげでお前さんの好きな奴を作れるんだからよ」
「え!鎧兜を作る?」
嵯峨の言葉に驚く誠。彼の肩にカウラが手を伸ばす。
「時代行列でうちは源平絵巻の担当だからな。当然甲冑を着て行進することになる」
「目玉は隊長の流鏑馬よ。本当に凄いんだから」
自慢げなリアナ。誠は嵯峨なら乗馬くらいはできるだろうとは思っていたが弓まで使えることははじめて知った。
「ちょっと冷蔵庫で会議しようや。お前等も見るか?」
嵯峨にそう言われて吉田と隣で一緒に画面を見つめていたシャム以外がぞろぞろとついてくる。
「源平絵巻ですか……写真の資料しか見たことありませんよ、僕」
そう言いながら嵯峨に続いて電算室に入る。嵯峨は素早く端末の前に腰掛けると画面を開いて胡州のネットに接続した。
「やっぱり胡州ですか製作は」
「そりゃあな。胡州の時代趣味はすげーからな。東和だと何時代の鎧……と言うかそもそもこれ日本の甲冑と違うじゃんと言う奴ができちまうからな」
ランの言葉に納得しながら誠は嵯峨が胡州国立文化センターのセキュリティーコードを打ち込んでいるのを眺めていた。
「変わったところに頼むんですね」
「平安末期仕様の鎧兜って限定して作らせるとなると、こういうところしか無くてな。まあこのこだわりがどれだけ客に受けるかは別なんだけどっと!」
そう言いながら嵯峨は歴史物品複製製作のサイトにたどり着いた。