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突然魔法少女? 143

「吉田からってことは証拠性はゼロってことか。でもまあそれを知った上でもこれをマスコミにでも見せたらそれなりに大変なことになりそうだな」 

 停止した画像に映る嵯峨の表情に苦笑いを浮かべてつぶやく要。

「でもこれは人工的に暴走を引き起こしたわけで……」 

「同じ条件が日常生活や任務中などに発生しないと言う保障はおありになるの?」 

 茜の言葉に誠は黙り込む。

「おい、なにやってんの?」 

 誠が振り向くとそこにいつの間にか嵯峨がいた。茜が厳しい視線をラーナに投げるが、きっちり鍵を閉めたと言うようにラーナが首を振る。そんなラーナの肩を叩くと嵯峨は歩み寄ってきた。

「なんだこれ?……吉田か。あいつからの情報は証拠に使えねえよ。司法関係者としては証拠性の無い情報は単なるデマだ、騙され……」 

「でもお父様!」 

 目の前の自分のかつての姿に苦笑いを浮かべる嵯峨。

「あの、法術暴走の……」 

「気にすんなよ。禿るぞ。それと俺等は司法官吏だ。証拠にならねえものはすべてデマ。そう考えるようにしておくもんだ」 

 誠に取り合うつもりも無いというようにそれだけ言い残すと、嵯峨はいつの間にか開いていたドアに向かう。そこにはアイシャとシャムの心配そうな顔がある。

「ああ、そうだ。茜よ。その報告書のことで秀美さんが重要な話があるんだそうな。冷蔵庫が空いてるからそこを使え」 

 冷蔵庫。保安隊の隊舎で一番セキュリティーのしっかりしたコンピュータルーム。そこを使うと言うことはそれなりの機密性の求められる会合であることを示していた

「分かりましたわ。ラーナ、行きましょう」 

 そう言うと目の前の画像を消して立ち上がる茜。

「ずいぶんと中途半端な話になっちまったな」 

 要の言葉に出口で立っていた嵯峨が目を向ける。

「要は気合だぜ。意識が勝ってれば暴走は起こらねえよ。俺の経験則だ、それなりに信用できるだろ?」 

 そう言ってそのまま嵯峨は隊長室へと向かう。

「ちょっと吉田さんが時間をくれってことだから今日の撮影はさっきので終わりよ」 

 入れ違いに顔を出してきたアイシャ。その顔を見て要は握りこぶしを固める。

「殴って良いか?カウラ、あいつ殴って良いか?」 

 アイシャをにらむ要。そして立ち上がろうとする要を目で制するカウラ。誠もなんだかいつもの日常に率い戻されたように苦笑いを浮かべる。

「捜査官!早くしろ」 

 アイシャを押しのけて顔を出した安城の言葉で茜が手を早める。

「あのう、要さん……」 

「分かったよ!とっとと部屋に戻るぞ」 

 そう言って後頭部に手を当てながら立ち上がってそのままアイシャ達の下へ向かう要。

「隊長のお墨付きだ。さっきのことは気にするな」 

 自分の言葉が何の慰めにもなっていないことを分かりながらカウラは言葉の無い誠の肩を叩いた。

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