表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/160

突然魔法少女? 142

「アメリカ陸軍第423実験大隊」 

 うつむき加減のカウラが吐いた言葉。その意味を誠は理解できなかった。そんな誠を仕方ないと言う顔をした要が眺めている。

「んなこと言ってもこいつに分かるわけねえだろ?アメリカさんの法術関連の実験部隊の名称だ。生きたまま法術適正者を使って人体実験……」 

「推測でものを言うのは感心できることではなくてよ。そのような部隊の存在は地球の国連も否定しているのですから」 

 紅茶を一口飲んで落ち着いたというように茜が口を開く。

「ともかく言える事は遼南における捕虜虐待、民間人虐殺容疑で逮捕された嵯峨惟基憲兵少佐をネバダ砂漠の実験施設内に収監していたと言うことは記録で残ってますわね」 

 茜は優雅に紅茶を口にしながら誠に目をやる。実際雛人形のように見える彼女に見られると誠はいつものようにただ頭を掻いて愛想笑いを浮かべるしかなかった。

「そしてその実験大隊の施設があると目されていた基地が収監394日目に蒸発した。このことは隣接していた核兵器の封印作業をしていたロシアの技術部隊の証言から裏がとれていますわ。そしてその98日後に私達姉妹の前にお父様が帰ってこられた。このことも嵯峨家の監視をしていた胡州陸軍憲兵隊の記録に残っていますから」 

 それだけ言うと茜は再び紅茶に手を伸ばした。

「蒸発?」 

 誠の言葉に要と茜が頷く。隣に座っているカウラもあいまいな笑みを浮かべるだけだった。

「現在でも空間のゆがみが見られるということで跡地は周囲半径30kmにわたって立ち入り禁止になっているそうだ」 

 カウラの一言に唖然とする誠。

「それは……凄いですね」 

「そうね、それが制御できる力ならと言う限定がつきますけど。そしてようやく先ほどのミイラに話が戻るわけです」 

 紅茶のカップを置く茜。彼女はラーナから携帯端末を受け取った。

「これを見ていただけます?」 

 そう言って茜は3Dモニターを展開した。そこには鎖につながれ、頭に袋をかけられた半裸の男が立っていた。良く見ればその男の後頭部から太いコードが延びている。さらに体中に電極のようなものが部屋の四方へと伸びていた。

「一瞬ですから、見逃さないように」 

 緊張感のある茜の声。しばらくぐったりと吊り下げられていた男が痙攣を起こす。そしてすぐに周囲が赤く染まり、次の瞬間には男が釣り下がっていた場所には細いなにかがぶら下がっていた。

「人工的に法術暴走を起こさせたか……」 

 カウラの一言に誠は動くことができなかった。目の前にあるのは作り物だと思いたかった。だが、目の前の画像では顔を見れないように加工された白衣の人影が中央の何かを触りながらお互い手元の計測機器をいじっている様子が映る。

「こんな実験が……」 

「映像は吉田少佐の提供ですが、あの方も元傭兵ですから入手先は秘匿するということで……」 

「馬鹿、これに映ってるのはオメエの親父じゃねえか」 

 その要の言葉に誠は呆然とした。目の前の3D画像の中の白衣の人々が何かに握られているとでも言うようにもがき始める。腕は不自然に曲がり、首がポロリと落ち、胴がちぎれて鮮血が画面を覆う。

 そしてそこには黒い煙を上げながら次第に立ち上がろうとする先ほどの男、その顔は嵯峨惟基以外の誰でもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ