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突然魔法少女? 119

「本当にやるんですか?」 

 力なく誠は立ち上がった。世界がぐるぐる回っている。

「諦めろ。ああなったアイシャは誰も止められねえよ」 

 そう言って立ち上がって開いたドアを支えている要。カウラは心配そうに誠の肩に手を当てた。

「大丈夫か?なんなら無理しなくても良いんだぞ」 

 そう言ってエメラルドグリーンの瞳を向けるカウラ。思わず自分の頬が染まると同時に、要とアンから殺気を帯びた視線が来るのを感じてそのまま部屋を出た。

「あれ?女将さんじゃんよ、あれ」 

 昨日、撮影に使った会議室に紺色の留袖姿の家村春子が入っていくのが見える。

「また呼び出したのか?本当にアイシャは遠慮と言うものがないな」 

 呆れながら誠を見つめてくるカウラ。立ち上がってしばらくは胃の重みが消えて楽になってそのまま先を行く要についていく誠。

「あ!」 

 女子トイレからの突然の声に誠が目を向ける。そこには中学校の制服姿の家村小夏がいた。

「ヘンタイ!」 

 誠にそう言うと会議室に駆けていく小夏。それを見てにんまりと笑う要。

「また脱いだんですか?僕」 

 何を言い出すか分からない要から目を背けてカウラを見つめる。そんな誠には残酷な光景、カウラは首を縦に振った。

「ああ、またですか……はあーあ」 

 大きなため息をつくとさらに足取りが重くなる誠。さらにさっきは楽になった胃が別の意味で重くなるのを感じる。

 そんな彼の前に法術特捜の部屋から出てきたのは嵯峨茜だった。その後ろにいつもおまけのように付いているカルビナ・ラーナ捜査官補の瞳に軽蔑の表情が浮かんでいるのを見て、さらに誠は消え去りたい気分になった。

「お仕事お疲れ様。それにしても皆さんお忙しいことですわね」 

 上品に笑う茜だが、そりの合わない要は鼻で笑うとそのまま会議室へ消えていく。

「しかし、よくあれだけのデータを東和警察から持って来られましたね」 

 カウラの言葉ににっこりと笑う茜。その物腰はあの保安隊隊長の娘であるということを忘れさせるような優雅なものでいつも誠は不思議な気分になった。

「まあそれだけ法術と言う存在を明らかにする必要性が高まっていたと言うことが原因かも知れないですわね。もしお父様が『近藤事件』で神前さんの力を引き出して見せなくても、誰かが表ざたにすることは東和警察も覚悟をしていたんだと思いますわ。そしておかげで私達法術特捜はこの人数でも十分活動可能な状況を作り出すことができましたしねえ。そこだけは幸運と言っても良いんじゃないかしら」 

 そう言うとラーナをつれて保安隊の隊長室に向かう茜。

「確かにパンドラの箱は開かれるのを待っていたわけか」 

 カウラがそう言うと歩き出す。誠も吐き気を抑えながらその後に続く。

「早くしなさいよ!ダッシュ!」 

 会議室のドアから顔を出すアイシャの声が廊下一杯に響いた。

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