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突然魔法少女? 118

「大丈夫か?神前曹長」 

 カウラがそう言ったのが当然だと誠も自分で思っていた。頭痛と吐き気は、今朝、要にたたき起こされたときから止まることを知らない。こうしてモニターを見ていてもただ呆然と文字が流れていくようにしか見えなかった。

「おい、医務室行った方がいいんじゃねえの?」 

「誰のせいでこうなったと思って……」 

 とぼけた顔の要に恨み言を言おうとして吐き気に襲われて口を覆う誠。そんな様子を一目見るとロナルド・J・スミスはあきれ果てたような顔でコートの上のマフラーを首に巻きつける。

「すまないな、昨日徹夜だからどうにもねえ。あがらせてもらうぞ」 

 そう言ってドアのところで待っている岡部とフェデロのところへと向かう。

「お疲れ様です!」 

 元気良くそう彼等に良いながら部屋に入ってきたのはアンだった。その手には誠の痛い絵のマグカップが握られている。

「神前先輩。これ」 

 アンが差し出す渋そうな色の緑茶。普段ならアンの怪しい瞳が気になって手を伸ばさないところだったが、今の誠にはそんな判断能力は無かった。

「ありがとうな、しかし渋いな」 

 そう言いながら一口茶を啜るとため息をつく誠。

「おい、これじゃあ仕事にならねえな。寮で寝てた方が良いんじゃねえのか?」 

「だから西園寺。こうなったのは誰のせいだとさっきから聞いてるんだ私は!」 

 無視されてさすがに頭にきて怒鳴るカウラ。それがきっかけでにらみ合う要とカウラ。二人の女性上司の対立も、今の誠には些細なことに過ぎない。絶え間ない吐き気と頭痛にただ情けない笑いを浮かべることしかできなかった。

「みんないるわね!」 

 元気良く部屋に飛び込んできたのはアイシャだった。今朝、同じように二日酔い状態でカウラの車に乗り込んだはずのアイシャがやたら元気良くしている。その姿を見てうらやましいと言う表情で見上げる誠。

「なに?誠ちゃんまだつぶれてるの?」 

「アイシャさん。なんで平気なんですか?」 

 そう言うのが精一杯と言う調子で言葉を吐き出す誠の背中を叩くアイシャ。思わず吐きそうになりながら再び誠が口を手で覆う。

「はい!病は気からよ!気合があれば病気なんてすぐ治るわ!」 

「オメエは一年中病気だろ?」 

 そうつぶやいた要をにらみつけるアイシャ。だが、アイシャの手に台本のようなものが握られているのを見て要は露骨に嫌な顔をした。

「オメエが元気ってことは、昨日の続きをはじめるとか言うことか?」 

 そう言う要に顔を近づけていくアイシャ。要はその迫力に思わずたじろぐ。

「あたりまえじゃないの!」 

 アイシャはそう言うと再び第二小隊のカウラ、要、誠の顔を見回す。

「さあ!今日も張り切っていくわよ!移動、開始!」 

 誠はそんな元気がどこから出てくるのだろうと不思議に思いながら部屋を出て行こうとするアイシャを見つめていた。

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