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突然魔法少女? 115

 誠が予想したとおり空気を読めるアイシャはおとなしくなり誠達にはアイシャからの呼び出しもかからず何事も無く終業時間を迎えた。法術系事件との関連を疑われていると言うことで整理していた事件のファイル。そんな茜から渡された資料のまとめがようやく終わり、あとは最終チェックをするだけになっていた。隣の席で襟首のジャックに直接コードをつないでずっと音楽を聴いていた要が机から足を下ろした。

「さてと、今日も終わりか。カウラ、神前。着替えるぞ」 

 そう言う要に専用端末のキーボードをずっと叩いていたカウラが疲れたというように伸びをした。誠も端末のデータを保存する処理を行った後、軽くこった肩を叩いた。

「良いねえ、第二小隊の連中は。こっちは徹夜になりそうだな」 

 新型アサルト・モジュールの運用データの整理をしていた第四小隊。いつもこらえしょうがないフェデロはそう言うと恨みがましい目で誠を見つめてきた。

「そんな目で見ないでくださいよ」 

「まあ諦めることだ。在外武官というものは常に忙しいか暇かどちらかだと父上も言っていたぞ」 

 フェデロの顔を哀れむように見ながらモニターの電源を落とした楓が立ち上がる。その言葉で誠は彼女の父であり保安隊の部隊長、嵯峨惟基が始めて任官したのはこの東和の大使館付き武官だったと言うことを思い出した。その時に道場破り同然に誠の実家の剣道場に現れた嵯峨惟基、当時は西園寺新三郎と名乗っていた胡州陸軍士官がいたという。その様子は母から何度も聞かされていて誠の頭の中にしっかりと残っていた。

「さてと、今日は寮の飯は……ロールキャベツだったよな」 

 そう言うと要がカウラの肩に手を乗せた。

「おごるからあまさき屋に行くってのはどうだ?」 

 要は非常に好き嫌いが多いたちなのは有名だった。ロールキャベツのキャベツ。そして付け合せのにんじん。どちらも要の嫌いな食材だった。

「貴様の奢りならかまわないが……神前も行くだろ?」 

 普段の安心したような顔で誠に笑いかけるカウラ。

「ええ、悪いですねいつもおごってもらってばかりで」 

「決まりだな!じゃあ……」 

「待ちなさいよ!」 

 部屋を出ようとした要の前にはアイシャが立ちはだかっている。

「なんだよ。オメエはまた泊りか?ご苦労なこったな」 

 そう言ってアイシャをすり抜けようとする要の肩をつかむアイシャ。

「あまさき屋に行くつもりでしょ?私達にも……」 

「やなこった!」 

 要はアイシャの顔にキスできるほど近づいてそう言うと部屋を出ようとするがそこには小夏とシャム、そしてサラとパーラが立っていた。

「おい!こいつ等の分まで出せっていうのか?」 

「外道だな、西園寺は。奢ると言ったら気前良く行くのが胡州侍の心意気だろ?」 

 サラの後ろに隠れていた小夏が叫ぶ。その言葉に要はつかつかと小夏に迫って行った。

「あのなあ、アタシは客なんだぞ。いつも外道呼ばわりしやがって。カウンターを三回壊したくらいで偉ぶるんじゃねえ!」 

「西園寺、壊したのは四回だ。それとテーブルを三つ、椅子を10脚くらい付け足しておけ」 

 そう言うとカウラは要と小夏の脇を通り抜けて誠をつれて更衣室へ向かう廊下を早足で歩いた。

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