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突然魔法少女? 108

「マジックプリンスとか言ったな。私に惚れると火傷するぜ!」 

 そう言って颯爽と誠の隣に席を取り、ぴったりと誠に胸を密着させてくる要。

『ああ!駄目だ!要さん完全におかしな方向に向かっちゃってるよ!』 

 誠の焦りと恥ずかしさに流れる汗を勘違いする要の姿がそこにあった。

「マスター。取り合えずワイルドターキー。12年物で」 

「あのー……イッサー大尉。うちは喫茶店だからアルコールは無いぞ」 

 暴走する要に呆れた顔で答える明石。さすがにここに来て自分の勘違いに気づいた要はすごい勢いで顔を赤く染めていった。

「まあいい。これだけの戦力が集まったんだ!」 

 恥ずかしさをごまかす大声。要は手を差し出して周りの人々を見つめた。その殺意すら感じるような視線におびえた誠は反射で彼女の手に自分の手を重ねた。さらにシャム、小夏、明石、その上にグリンまでも手を伸ばして重ねられた手のひら。

「必ず機械帝国の野望を砕いて見せるぞ!」 

 そう叫ぶ明石に一斉に声を張り上げる誠達だった。

『カット!まあ……なんというか……要ちゃん……』 

「あ?何が言いてえんだ?」 

 手を引いた要が明らかに不機嫌そうにつぶやく。

『まあ、良いわ。それじゃあ次のシーンね。今度は私も出るから吉田さん頼めますか?』 

 次のシャムの小学校の担任役で登場するアイシャ。吉田はテキストで『分かった』と返事を出す。恐らくは要の怪演に大笑いをしているんだろう。そう思うと誠は要に同情してしまった。

『じゃあ皆さんはご自由にどうぞ……要ちゃんは自重』 

「うるせえ!」 

 要の捨て台詞が響くと素早く周りが暗くなる。そしてしばらくたって再びカメラ目線に誠の視界が固定される。そこには小学校。特に誠には縁の無かったような制服を着た私立の小学校の教室の風景が広がっていた。シャムは元気そうに自分のスカートをめくろうとした男子生徒のズボンを引き摺り下ろす。そして彼とつるんで自分を挑発していた男子生徒達を追いかけ回し始めた。チャイムが鳴る。いかにもクラス委員といった眼鏡をかけたお嬢様チックな少女が立ち上がるのを見ると騒いでいた生徒達も一斉に自分の机に戻った。

 ドアに思い切り何かがぶつかったような音が響く。そしてしばらくの沈黙の後、アイシャが額をさすりながらドアを丁寧に開いて教室に入ってくる。

「先生!何したんですか!」 

 先ほどシャムにズボンを下ろされていた男子生徒が指をさして叫ぶ。周りの生徒達もそれに合わせて大きな声で笑い始めた。

「本当に!みんな意地悪なんだから!」 

 しなを作りながらよたよたと教壇に向かうアイシャ。なぜか眼鏡をかけているのはお約束ということで誠は突っ込まないでいるつもりだった。

「はい!静かに!礼!」 

 委員長の言葉で一斉に礼をする生徒達。

「着席!」 

 再び生徒達は一糸乱れず席に着いた。大学以外は公立学校で過ごしてきた誠は少し違和感を感じながら目の前の小学校の教室を見つめていた。アイシャは知識は脳へのプリンティングで得ているはずなので彼女の学校のイメージが良く分かって誠もほほえましく画面を眺めていた。

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