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2.意図的?

 

「…そこまでモテたいか」


 私は少し呆れ気味に裕樹の方を見上げた。太陽が逆行になって、かなり眩しい。裕樹は私を真っ直ぐに見つめ返して、深く頷いた。


「好き」

「え」

「って言われたいんだよっ!!!」


 そしてそっぽを向いて拗ねる裕樹。ちょっと待て。私の一瞬の期待とときめき返してくれないかな。

 じわじわと顔が熱くなるのがわかった。心音も聞こえてしまうんじゃないか、っていうくらいバクバクしてる。天然って本当に怖いと思う。

 これで私の気持ち知らないってのがさらに辛いとこなんだよ。いや、知ってたらそれはそれで有罪なんだけど。


「…なんか言わないの?」

「…言って欲しいの?」


 唐突な裕樹の呟きに私はキョトンとして首を傾げた。するとみるみる真っ赤になっていく裕樹。大きな右の手のひらで顔を覆い、あー、だの、うー、だの呟いている。


「そんなに恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」

「ちがっ、そうじゃな、いやそうなんだけど!!」

「どっちや」


 わたわたする裕樹がなんかとても可愛く感じて、私は思わず笑ってしまった。それと同時に、微かな悪戯心が生まれる。


「裕樹」

「…なに」


 顔を覆っていた手を少しだけ下げ、目だけが覗く形になる裕樹。私はクスリと笑って、裕樹にそっと顔を寄せた。


「好きだよ」

「な…っ!!」

「って裕樹ならいつか絶対言われるから、安心しときなよ」


 仕返しだ。私の気持ちを思い知れ。思った以上に恥ずかしかったけど。これを平然とやってのけた天然裕樹怖いと思ったけど!!

 裕樹を引っ掛けようとして自爆したとか、正直恥ずかしすぎて自嘲すらこぼれるレベル。

 …まぁ、裕樹は私と同じ気持ちじゃ無いのだろうから、心象ダメージは違うんだろうと考えたら、少しだけ胸がチクリと傷んだ。

 2年も好きで、それでも友達止まりなのはちょっぴり辛いものがある。

 まぁ、自己責任なんだけどね。


「莉奈さぁ」

「何さぁ」

「そういうのズルイ」


 ジト目でやんわりと睨まれる。ズルイって何。免疫が無いと知っていて引っ掛けをかけたからですか。


「…先にしたのはそっちでしょうが」


 思わずこぼれてしまった言葉に慌てて口を塞ぐ、けど、覆水盆に返らず。放ってしまった言葉は裕樹の元に届いてしまったようで。

 意識した、ってバレてしまったようなものじゃんか。見る見るうちに頬が熱くなる。あ、やばい。凄く恥ずかしい。

 裕樹を直視出来なくなった私は誤魔化すように顔をフイッと逸らして、横目に様子を伺うことにした。キョトンとしているのだろうと思えば、裕樹はうっすらと赤かった顔をさらに紅潮させて、見るからに動揺していた。

 ちょっと待って、想定外。


「裕樹?」

「えっ、いやっ、その」

「なぜそんな慌ててるの?」

「だってバレてると思わなかった!!」


 何それ。何それ!?

 あの「好き」で止めたのはわざとだったの!?

 私の頭はキャパオーバーしそうで、どうしようもなくて。

 極力冷静を保って、裕樹の方を見た。もう顔が赤いとかは放置。ぶつかった視線を逸らしそうになるのをこらえて、私は小さく呟いた。


「君さ…そういうこと他の女子にしちゃ駄目だよ」


 これが、小さな独占欲。

 どうせ裕樹は気づかないんだから、これくらいは、いいでしょ?

 私が呆れたように笑えば、裕樹は呆気に取られた顔をして首をかしげた。可愛いとかは思ってない。断じて。



「しないよ」



 裕樹は真っ直ぐに私を見つめて言い放った。

 その瞳は嘘なんか一つもないと言わんばかりにに真っ直ぐで。


「莉奈以外には、する気ないよ」


 そう言うと、裕樹は目を細めて笑った。

 その笑顔が妙に大人びてて、私の顔は林檎と化しただろう。


 いつからそんなに『男子』になったんだ。

 どこまで好きにさせる気なんだ。

 仲がいいからって、その爆弾は駄目だよ。


 期待しちゃうし、さらに好きになってしまう。


 あぁ、もうバカっ!!!!



天然核弾頭。

木曜日に更新出来ませんでしたごめんなさい…。

とりあえずこんな青春を中学の頃に過ごしたかったと切実に思った花紫です。

ただいまテスト期間に追われています。

このかわゆい青春を擬似的に味わっております・ω・`

ここまで読んでいただき、ありがとうございます(。_。*)


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