第6話~必死の攻防~
こんにちは、まる。です。この度はご訪問有難う御座います。
今回のお話は、ちょっとだけですが生々しいおふざけモードとなっております。生々しいと言ってもR15ですので、大した事無いと言えば大したことないです。
ですが、紳士なジャックのイメージを大切にしたい方は、読まない方が良いかも知れません。
今回を読まなくても物語に影響はありませんので、ご安心下さい。
って、これだけ前フリしておいて「何処が?」って声があちらこちらから聞こえてきそうではあったりもします;
取りあえず、読むか読まないかはご自身のご判断にお任せします。
では、今後とも『運命の人』を宜しくお願いしますm(__)m
「うぅー……」
月曜日の朝一からデスクに突っ伏し、「あー」だの「うー」だのと唸っている。何故、こうなってしまったのかと言うと、全てジャックのせいだといっても過言ではない。ジャックを甘くみていた事に激しく後悔していた。
先週金曜日のラ・トゥールでの一件の後、ジャックにそそのかされて家まで行ったはいいが、彼の“いい子ちゃん”宣言は何処へやら。結局、あれやこれやされてしまって全身が筋肉痛になると言う、なんとも初々しいと言うか恥ずかしい状態に陥ったのだった。しかも、翌日に筋肉痛になるのではなく、三日経ってから痛くなったのが精神的にも追い討ちを掛けた。
◇◆◇
「ち、ちょっと、生理だからダメだって言ったじゃない」
ジャックの部屋に入ると腕を掴まれ、ベッドルームへ直行する。身の危険を感じてそう言うと、「だから! そんな生々しい事言わないの!」と、顔を赤らめながら二人一緒にベッドになだれ込んでしまった。
「挿れなきゃいいんだよね?」
無駄に大きいキングサイズのベッドの上で、跳ねた身体を即座に組み敷かれる。彼の方こそ生々しい表現でそう聞いてきた事に叶子は唖然とした。
「ち、ちが……もう! そうじゃなくてっ!!」
ジャックはどうにも理解が出来ないのか、思いっきり恥ずかしがる叶子をキョトンとした顔で見つめていた。
「じゃあ、挿れていいの?」
「ダメッ……、――んんっ!?」
ジャックはもう返事を待ってられないとばかりに、叶子の口を塞ぎにかかった。
「……ん」
一気に口腔内を侵され、あっという間に身体全体が痺れるのを感じる。二、三度舌を絡ませただけなのに、既に彼の手はシャツのボタンに伸びていた。その事に気づいた時には、既に肌が冷たい空気に曝されていた。
(なっ……、いつもよりペ、ペースが……!?)
いつもの彼は嫌って言うほど焦らし、叶子がおねだりしないと先に進んではくれない位愛撫に時間を掛ける。だが、何故か今日はキスと服を脱がすのがほぼ同時で行われ、なんとも彼らしからぬ余裕の無さが感じられた。
もう息切れだとばかりに荒い呼吸。唇から首筋を辿りだした彼の舌は、肌に貼りついたぬめりが乾く間もなくまた同じ道を何度も辿っている。
「んっ――」
思わず零れた吐息に彼も気付いたのか、プツンッと背中のホックが外され胸元がふわっと楽になった。
「――! ……だ、ダメーーーっ!!」
いつの間にやら流されてしまっていた叶子はやっと我に返り、大声でそう叫ぶと同時に彼を押し退けた。――が、叶子の真上にいるジャックは全くビクともしない。荒い呼吸で舌なめずりをする雄々しい姿で、ジッ……と叶子を見下ろしていた。
「っ、」
完全にスイッチが入ってしまっているようで、どうにも逃げられそうにない。仕方なく、ジャックに背中を見せる様にしてその場でくるりと回転し、何とか身を守ろうとした。
「もー! ダメって言ってるのにぃー!」
「何が? ……ああ、今日は後ろからがいい?」
「――へぇっ!?」
――積極的なカナもいいね。
背中に覆いかぶさりながらそう耳元で囁いたと同時に、スカートの中に手が滑り込んできて色んな意味でブルっと身体が震える。何とか身を守ろうと両足をお腹の下に引き寄せベッドの上で団子虫の様に丸まってみたが、そうすることでベッドから浮いてしまった胸元に、すかさずジャックの手が伸びた。
「そ、そんっ……い、言ってないからー!」
片手でシャツの合わせ目を掴んで彼の大きな手の侵入を防ぎ、もう一方の手は太腿辺りを徘徊している熱い手をバシバシと叩いた。背中から体重をかけて圧し掛かられている分身動きは取れないが、逆に言うとこれ以上何も出来ない。ジャックの手の動きもまるで、叶子の叩く手ともぐら叩きでもしているような動きになっていた。
「――! ……?」
何かがおかしいと徐々に疑問を抱き始め、首を回して背中にのし掛かるジャックの表情を確認する。すると、先程までの雄々しい表情は何処にもなく、ニヤニヤと楽しそうな様子で彼女の手から逃げ回るのに必死になっていた。
「もう! 何してるのよ!」
「あ、ばれちゃったかぁー、結構楽しかったのに」
まるでおもちゃを取り上げられた子供の様に、口を尖らしながら上体を起こすと叶子を解放した。
「もう、本気で焦っちゃったじゃない!」
これは性質の悪い彼の冗談だったのだとわかった叶子は、体を起こして服の乱れを整えるために彼に背を向けた。
「あはは、でも中々いい反応だったよ?」
「もう! バカッ!!」
ジャックに背中を向けていることで、また襲われるんじゃないかと不安になりながら急いでホックをとめる。シャツのボタンに手をかけ、やっとこのおふざけが終わるとホッと息を吐いた時だった。
「あー、のさ? 僕の反応はどうだった? ……と言うか、どうすればいい?」
「え?」
身なりを整え終えると、叶子は後ろを振り返った。眉尻を下げ、困ったといった表情のジャックが、つんつんと指で下の方を指し示している。何の躊躇いもなく、それにつられて視線を落とした叶子は、……激しく後悔した。
「……。――っ!? ぎゃあーー!! へ、変態っ!!」
「へ、変態とは失礼な!!」
後ろにあった枕を引っ掴み、胡坐をかいた彼のソコに押し付けた。「痛っ!」と、小さな声が聞こえ、ジャックが眉をしかめている。
(も、もう無理……。一年振りなのに、刺激が強すぎる)
叶子は頭を抱えながら横向きに倒れこんでしまった。
枕で大事な所を押さえながらジャックが上に覆いかぶさり、倒れこんで動けなくなっている叶子の顔を覗き込んでいる。
「カナ? 挿れないから、いい?」
「ダメ」
「じゃあ、触るだけ」
「ダメだってば!」
まるで、高校生の男の子の様なやり取りを繰り返す。どうしても折れない彼に根負けした叶子は、仕方なく“服は脱がさない”という条件付きで許可を与えると、にっこぉーっと蕩ける様な笑顔を見せて再び飛びついてきた。
◇◆◇
「そもそも、ソレが間違いだったのね」
「はぁっー」と、大きな溜息を吐き、後悔したのが三日後の朝の事だった。




