第十六夜
第十六夜、更新しました♪
よろしくお願いします♪
棲み処へ帰り着いたノラ猫、黒須伐を、金髪碧眼の少女、クリスティーナ=ウエストロードこと、クリスが出迎える。
その出で立ちは、ワイシャツにスラックス姿。いずれも伐のものだ。
「お帰りなさい、伐♪」
柔らかい笑みとともに彼を迎える言葉をクリスの柔らかそうなくちびるが紡いだ。
「ん」
対する伐の返事は、返事と呼べるか怪しいものだ。
しかし、この二人の間では、それが当たり前になりつつあった。
不意にクリスが伐の手を取り引っ張った。
「ね、ね、伐。こっちへ来て?」
珍しくはしゃぐような様子の彼女に、訝しげになる伐。
連れていかれたのはキッチンであった。
そこには、“戦い”の跡と、ちんまりとしたサンドイッチが並んでいた。
「ちょっと作ってみたの。挟むだけだと思ったら、結構難しいのね? あ、味見もしたし、食べられると思うけど……食べてみて?」
ここに連れてきてから初めて見たような屈託のない笑顔を向けてくるクリス。それを見た伐は顔をしかめる。
「……いや、俺は……」
彼にしては珍しく、少し困ったように口を開いた。
と、彼女の指が視界の端に入った。
べたべたと大量に張り付けられた絆創膏。
軽く血が滲んでいる辺り、結構な出血もしたようだ。
包丁など持ったことのないであろう彼女の苦労が見て取れる。
そして伐は自然とそれを手に取り、口に運んだ。
放り込まれた一口サイズのそれが咀嚼され、嚥下した瞬間。
凄まじいまでの不快感が彼の体を駆け巡った。喉と胃の府がそれの受け入れを全力で拒否する。
伐の顔は真っ青になり、軽く口を押さえると、トイレに足を向けた。
「……ご、ごめんなさい……あたし知らなくって……」
「いい。今回は言ってなかった俺に責がある」
ソファに寄りかかりながらぐったりした様子で答える伐に、クリスは青くなりながら何度も謝る。
あの後、トイレで散々もどした伐を見て、クリスが取り乱し、それを力の入らない体で精一杯強く抱きしめながら伐は事情を話した。
それは、両親の愛を知らぬ男の子の物語。
家族愛を見失い、いつしか手作りの食べ物を体が受け付けなくなってしまったという、心の傷跡。
「……だからお前は悪くない。それに……」
言葉を切った伐に、クリスは顔を上げた。
「…………食べたいと思った。だから口へ運んだ」
つぶやくように言いながら憮然となるノラ猫。
その言葉だけで、クリスは体の芯に火がついたような気がした。
「……伐っ!」
声を上げて、少年に飛びつく金髪の雌猫。
彼の唇にむしゃぶりつきながら、彼の口腔へ赤い軟体生物のような舌を潜り込ませていく。
普段ならともかく、今は体に力が入らず、されるがままになる伐。
その間にも、彼女は自身のまとったワイシャツのボタンを外していく。
そして、まろび出る美しい造形の双丘。さらにはスラックスのボタンを外しながら、チャックを開ける手間も惜しいとばかりに無理矢理脱ぎ捨てるクリス。
ことここに来て、ようやく伐にも火がつき始め、前をはだけたワイシャツのみになったクリスの柔肌に手を掛けた。
その感触に、クリスの肢体が喜びにうち震える。
芯から発情した彼女の濡れそぼった股座は、雌の発情臭を放ち、それが雄猫の興奮を加速させる。
学園からの帰りに相手をした二人もなかなかの肢体をしていたが、この雌猫にはかなわない。
吸い着くようなきめ細やかな肌を撫で回し、揉みしだく。それだけでさらなる興奮に己の象徴がいきり立つのを感じるノラ猫。
そして、雌猫もそれに負けじと彼の体を柔らかい己の体で包んでいこうとする。
互いの体を撫で回しながら、長い長いディープキスは続く。
二匹の夜は始まったばかりだった。
第十六夜、いかがでしたでしょうか?
次回はこの続きからになります。つまり、がっつりヤる予定(笑)
まあ、予定は未定で決定ではないわけですが(笑)
次回もよろしくお願いします♪
まあさん、伐のこの症状ってこんな感じで合ってますかね?
ささらもこんな感じだったような……?
違うようでしたらばご指摘下さい。