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至って普通に生きたいのに  作者: 本丸
少年期(帝国騒乱編)
7/11

5.実力強化(前編)

2つに分けました。

 身体は無事だ。

 場所も、ちゃんとうちの屋敷だ。


 ……よかった。


 昨日の刺客のことを思い出す。


(いきなり初日から来るとか、ありえないだろ……)


 思わずため息が出た。


(「危機一髪」さん、本当にありがとうございます。)


 内心でスキルにお礼を言う。


 朝。


 師匠たちと一緒に朝食を取る。


 キシンさんがこちらを見た。


「クリスティーナ、大丈夫か。」


「はい、なんとか。」


 モロッチョさんが腕を組む。


「坊主は確率操作系のスキルだな。」


 少し考えるように言った。


「当分は何とかなるだろう。」


 そして真面目な顔になる。


「それでも、ゼロ%じゃない。」


 キシンさんも頷いた。


「その通りじゃ。」


「刺客が来ても、逆に返り討ちにできるくらいには強くならねばならん。」


(要するに――)


(強くなれってことだな。)


 まあ、当然か。


(頑張るしかないな。)


 修行の予定も決まった。


 昼までは魔術の訓練。

 昼からは剣術の修行。


 師匠たちと相談して決めたらしい。


 まずは剣術……ではなく、今日は魔術からだった。


 庭に出ると、モロッチョさんが待っている。


 キシンさんの姿はない。


(多分……山だな)


 昨日の場所を思い出す。


「よろしくお願いします。」


 俺は頭を下げた。


 こうして――


 クリスティーナの修行生活が、本格的に始まった。


 まず最初は魔素感知だった。


 モロッチョさんが説明する。


「簡単に言えば、魔素を感じ取ることだ。」


「魔力で周囲の魔素を動かす。」


「だが、魔素を認識できなければ動かせない。」


 なるほど。


 つまり――


 まず感じろということだ。


 目を閉じる。


(周囲の空気……)


(魔力を使って……)


 すると――


(……あれ?)


 空気の中に、微かに何かが動いている感覚がある。


 まるで、水の流れのような。


「……できました。」


 モロッチョさんの眉が上がった。


「ほう。」


「早いな。」


 次は魔力循環だった。


「今度は体の中だ。」


 モロッチョさんが言う。


「意識を自分の内側に向けろ。」


「そして、魔力を体内で巡らせる。」


(内側に意識を……)


 目を閉じる。


 自分の体を意識する。


(ここか……?)


 胸の奥に、温かい感覚がある。


 それを動かしてみる。


 ゆっくりと。


 体の中を回すように――


「できました。」


 モロッチョさんが少し驚いた顔をした。


「……もうか。」


 そして言う。


「なら、それを一点に集中してみろ。」


(集中……)


 胸に魔力を集める。


 すると――


 魔力がぎゅっと固まる感覚がした。


「こんな感じですか?」


「そうだ。」


 モロッチョさんが頷いた。


「それを毎日やれ。」


「上達すれば、魔素や魔力の動きから敵の動きも察知できる。」


(なるほど。)


 基礎だな。


(基礎は大事だ。)


 前世でも散々聞いた言葉だ。


(怠っちゃいけない。)


「分かりました。」


 午前の訓練はそれで終わった。


 地味だが、重要な訓練だ。


 それから昼まで、俺はひたすら魔力循環を続けた。


 昼からは剣術の修行だ。


 場所は――


 またあの滝のある平地だった。


(やっぱりここか)


 キシンさんが朝いなかったのは、きっと安全確認をしていたのだろう。


 平地に着くと、キシンさんが説明を始めた。


「剣術には主に三つの方向がある。」


 指を三本立てる。


「一つは攻撃力を高める剣。」


「二つ目は手数を増やす剣。」


「三つ目は技術を磨く剣。」


 そして言う。


「今回の修行では、三つ目――技術を鍛える。」


 なるほど。


「まずは基本だ。」


「構えと型を覚えろ。」


「構えは主に三つ。」


 キシンさんが剣を持つ。


「上段。」


 剣を高く構える。


「下段。」


 剣先を低く落とす。


「そして――青眼(中段)。」


 剣先がまっすぐこちらを向く。


「まずは青眼からじゃ。」


 キシンさんが手本を見せた。


 俺も真似する。


 ……すると。


「違う。」


「腰が甘い。」


「肩の力を抜け。」


「あー違う違う。」


 めちゃくちゃ言われた。


 何度もやり直す。


 そして――


 ようやく。


「……うむ。」


 キシンさんが頷いた。


「合格じゃ。」


(長かった……)


 前世で剣道を少しやったことはある。


 だが――


「型」はもっと酷かった。


 体が全然動かない。


(まあ……)


(慣れれば大丈夫だろ。)


 するとキシンさんが言った。


「明日からは、合格が出るまで繰り返す。」


「余った時間で他の修行をする。」


 つまり――


 終わらない限り次に進めない。


(自主練しないとまずいな……)


 その日の夜。


 修行の疲れで、俺は夕食を食べたあと――


 すぐに寝てしまった。


 それから一ヶ月後。


 ついにスキルを獲得した。


 《持久Lv.1》

 《恐怖耐性Lv.1》

 《魔力操作Lv.1》


 朝のランニングで持久。


 キシンさんの殺気で恐怖耐性。


(殺気って精神攻撃なのか?)


 戦場に行けば、誰でも獲得できそうだ。


 だが、モロッチョさんは首を振った。


「そんな簡単じゃない。」


「恐怖耐性を得られたのは、お前が本気で恐怖を感じたからだ。」


「それほどの殺気は普通の人間には出せない。」


「キシンが特別なんだ。」


 なるほど。


「それに――」


 モロッチョさんが少し笑う。


「それに耐えたお前も大したものだ。」


 魔力操作は、練習していたら自然に手に入った。


 つまり――


 努力の結果だ。


(やっぱりこれだな。)


 前世の言葉を思い出す。


「継続こそ力なり。

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― 新着の感想 ―
青眼じゃなくて正眼だった気がする
面白いです。これからも頑張ってください。
2026/03/10 16:16 匿名の誰か
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