見えない雪
私には、皆に見えない雪がある。
それは、物心着いた時には既に見えていた。
上から下へゆっくりと、黒い雪が落ちていって、床についたら消えてしまう。
でも、皆には見えない雪、特別な雪だ。
それは、年中振り続ける。
綺麗で、ずっと見惚れてしまう雪だ。
でも、私は本物の雪も好きだ。
真っ白くてふわふわな雪。小さくて、手に乗せると直ぐに溶けてしまう雪。
私は、皆には見えない雪と皆にも見える雪の2つが大好きだ。
でも、どっちが好きかって言われると、やっぱり年中見れる、皆には見えない雪の方が好きだ。
やっぱり、特別に感じられるから。
でも、たまに思ってしまう。いつか、この雪も春の訪れのように消えてしまうのでは無いかと。
でも、未だに消えること無く、見えている。
だから、私は今だけでも、この特別な雪を眺めていたい。