第五部 選択
──コンニチワ。
私ハ、コノ物語ノ“観客”ノ一人デス。
今カラ、アナタタチニ選択ヲシテ貰イマス。
アナタタチニハ、コノ物語ヲ読ミ進メル権利ガアリマス。
アナタタチニハ、コノ物語ヲ放棄スル権利ガアリマス。
ココカラ先、辛イ「空想」ヲ見テ、心ヲ擦リ減ラス必要ナドナイノデス。
アナタタチニハ、辛イ「現実」ヲ見テ、心ヲスリ減ラス運命ガアルノデス。
ソレデモ、前ヘ進ミマスカ?
……オメデトウゴザイマス。
アナタハ正式ニ観客ノ一員トナリマシタ。
コレガ物語デアルコト、ユメユメワスレヌヨウニ。
「こんにちは!久しぶりだね!
あっ、そっか、君たちにはボクらの姿が見えないもんね!あはっ、いけないいけない。
みんな覚えてるかな?時の館の主人とはボクの事さ!
ふふっ。君たちは、ボクの事どう思ってるのかな?
憎い?
怖い?
ウザイ?
まぁ、何でも良いけどさ。
でも、思わなかった?
この物語、みんなプロットに従いすぎて面白くないーって。
そうなんだよ。だからボクは、物語に抗うことにしたんだ。
勿論、あるべき流れに逆らうって事は、全てを敵に回すって事だからさ。
誰にも手伝って貰えなかったんだよーっ。
ひどくない?
創造神はあんなに優しいはずなのに、それでも物語を進めようとするし。
リィムに関しては、物語に従うのが正しいって思い込んでる。
ボクは根回しをしたんだ。ゆっくり。ゆっくり。
フォニックスに倒させた二人だって、決して無駄じゃないさ。
彼らには、十二分に時間を稼いで貰った訳だしね!
プロット的に、この時点で人は死なないはずだったんだけど……やっぱ、歪ませれば何処かで歪みが出来るって事か。
うんうん!
上手く行ってる、上的だよ!リィムもボクを警戒してイネイと一緒にいてくれてるし……。
ボクの楽園計画は、もう半分は出来たね!
こんなに喋っちゃって大丈夫なのかって?
良いよ、だって、君たちは観客だろ?
物語の中で踊るボクらを、見ることしかできないでしょ?
ボクたちが苦しみながらも前に進むほど、この物語は綴られて行く。
そういう約束事は、ボクにも変えようが無いし。
でも、君たちは勘違いしてるよ。
こうやって、フォニックスは成長していくにつれて……
周りの力を喰って行ってるんだよ!
フォニックスは、このままだと過ちを犯すよ。
だからボクは、プロットを変えなきゃいけないんだ。
そう、フォニックスは、一回バラけなきゃいけないんだ。
君たちが見る現実と、ボクが見ている空想は、違うものだよ。
でもね、ボクはここでしか踊れないんだ」




