表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第十章 差
48/51

第三部 正体

 その後、俺はぼんやりと真っ暗な森の中で座っていた。

「おーい、危ないよー」

「……大丈夫だ」

「そう?危なかったら逃げるからね」

ここからでも、若干あいつの妖気を感じる……気がする。

それだけじゃない。

この妖気は……ツーハ?あのトカゲもいる。いるのは海岸の辺りか。地図アプリと見比べるとよく分かる。

その他にも、他のフォニックスメンバーの位置が透けて見える。なんだ、この感覚……。

試しに超音波を使ってみるが、さしたる変化は無い。

つまり、あの妖気を浴びさせられた結果、無理矢理妖気を感じる力が上げられたという訳か。

「もしかして、感覚範囲が広がった?凄いじゃん」

(いずれフィラにも届きそうな感じ♪)

「はっ?」

今、声が?

(聞こえた?やっぱさっきので研ぎ澄まされてるね。行ってみて正解だったよ)

「これって、どうやって喋ってるんだ?」

(いずれ出来るようになるよ。君の才能なら。でも、これで分かったでしょ?妖気の可能性)

妖気って強さを測るだけのものじゃなかったのか。

「イメージするなら、ファッション的な?強い人でも、一緒にいて不快じゃない時あるでしょ」

「じゃあ、俺が妖気から拒絶を感じたのも、何となくじゃなかったのか」

「そーそー。というか、シンくん、無意識に使ってたじゃん」

「それは……どういう……」

多分、影を使うのが普通の技だ。とすると……

「合体?」

「正解!」

「だが、仕組みが分からん」

「あれはね、まずシンくんが影の中のシンくんと入れ替わって……」

「ちょっと待て。順序がおかしい。合体が出来た時、俺はまだこいつを扱えてなかった」

「だから相手の中のシンくんのイメージが役だったんだよ。解除する時、君は君に戻れる」

「じゃあ、俺は今俺だが、影にもなり得るってことか?」

「そういうことだろうね。自分の体を能力で変化させられる人、中々いないんだよ?でも、その能力を利用すれば、君は文字通り、

“何者にでもなれる”」

「……は?」

「だってそうでしょ?でも、元の自分に戻れないリスクは込みだがら、片方だけ変えてる今がベストの状態だろうけど、影と交代すれば変わってるように見えるんじゃない?」

「今の俺は、俺と誰かのイメージって事か?」

だったら、それって……。

「……残念ながら、そういう事だね」

「……」

もしかして、元から俺は、「俺」じゃなくて、影だったのか?昔の俺の理想なのか?元の俺は、一体何処に……。

「でも、これだけは言える。今の君は君のものだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ