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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第十章 差
47/51

第二部 不安

 俺が動けないでいると、そいつは俺の顔を覗き込んでいた。

「よく見たら、良い面してんな。どっかで見たことあるような……。覚えてねぇけど、母親似だろ、お前」

俺は無意識にそいつを睨んだ。

「お前、案外威勢はいいな。面白ぇ。でも安心しろ。あいにく俺は満腹だし、お前ぐらいの奴は喰うまでもねぇし……」

そいつは俺の頬に右手を添えた。

「お前、フォニックスか?」

と尋ねて来た。

再び体が震え出した。怖さじゃない、怒りで。

しかし、手は離れない。

「当たりだな。じゃあ尚の事だ。あいつに怒られちまう」

「……なんで知ってる」

「なんでだと思う?」

「黙れよ。俺の知り合いの中にお前の知り合いが居るって事だな?」

少しの間の後、そいつは声を出して笑った。

「本当に面白いな、お前。初対面でそんな口効いてくる奴初めて会ったぞ。本当に、面白ぇ」

そいつは鼻先が触れる寸前の所まで顔を近づけようとしたが、ニアが俺を引き寄せた。

「おっと。お前、やるじゃねぇか。いいコンビだな。とりあえず、帰った帰った。俺の気が変わらないうちにな」


 なんとか、最寄りの公園までたどり着いたが、これ以上飛ぶ気力は残っていなかった。

「どうだった?」

「……」

怖かったけど、なんで俺はキレそうだったんだ?

触られた頬が、まだその感触を残している。

「全然、届かなかった」

「ふーん……そうかな?ボクには、割と張り合えてる方に見えたけど?」

そんな訳が無い。あんなに安易と近づかれている時点で負けている。

「って言っても、納得しないでしょ、キミ。だと思って連れて来たし」

「……だが、あいつと戦うイメージが出来ねぇ」

「だね。俺もない」

「は?じゃあ、なんで「でも

「キミを逃すイメージは出来てた」

「それって」

命懸けで俺にあんな経験させてたって事か?コイツも相当、イカれてやがる。

「へへっ。でも、立派だよ。あいつ、人呼んで破壊神は、フィラも知ってて放置してるから」

あんな妖気の中、大抵の人間なら正気でいられないだろう。俺がそうだったぐらいだ。

「フォニックス、意外と有名なんじゃないの?」

「あんな奴らに知れ渡ってても、嬉しくねぇ」

「だよねー」

完全に、負けた。戦う前から。

俺はどうすれば良い?あいつに追いつける様になるまで、あと何年必要なんだ?

その時多分、俺の胸の中には不安が渦巻いていた。

「とりあえず、ご飯食べる?」

その時の弁当は、味がしなくて、その時は食べるという行為自体が作業のように感じられた。

 少し投稿が遅れてしまったので、お詫びに二話連続投稿とさせて頂きます。

 破壊神たちの話を他の所で連載しております。もし興味がある方がいらっしゃいましたら、是非お読み下さい。

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