プロローグ 煌めき
よう!俺は守護神と呼ばれた男!レオンだ!
……なんでツーハじゃなくてこの俺かだって?それはまぁ……ツーハだとちょっと平仮名が多くなるからじゃね?
俺はツーハと洞窟にやって来た。洞窟と言っても、ちゃんと整備されている。
「ねーねー。どこ行くの?」
とツーハは聞いてくるけど、
「着いてからのお楽しみだ」
そのまま洞窟を歩いて行くと、その地下にそれはある。“ミフューの帽子屋”。その店はドアなどなく、洞窟の一角を帽子で埋め尽くしている。そんな帽子の壁たちを迷路のように進むと、ようやくこの店の店主、ミフューが現れた。
「らっしゃーい。丁度お得意様が帰ってったとこだから、注文オッケーよ。する?」
ミヒューという名前すら本名かどうか分からず、クオのような掴みどころの無さはあるが、実際、頼りになるから今はそれでいい。
「ああ。こっちのが」
「ツーハ!私はツーハ!」
流石にこっちの呼ばわりは駄目だったらしい。
ミフューが帽子たちから離れると、ツーハもその向かい側に移動した。
「さーてーと。お弟子さんを自分で教えるのが筋だとは思うけど、お金はもらえるからいっか!」
「俺は技関連は教えられないんだよ!」
口から出すことは出来ても他は出来ない。
「こんなレオちゃまは置いといて、始めましょうか」
嫌味ったらしいが、最近は慣れて来てしまっている。フィラだって近い所はあるし。
ミフューは糸を巧みに操ってツーハを捕えようとするが、ツーハも巧みな飛行で避ける。
「今回の目標はあなたの技よ。早く出してご覧なさい」
ミフューは一本だけだった糸を十本に増やし、ツーハは逃げ場を失った。
「わわわわっ」
ツーハは焦って自分を光らせたが、糸相手じゃ意味はない。本当に反射だろう。糸がツーハの腕を縛った。足も同様に。身動きが取れなくなるのも時間の問題だろう。
と思っていた。俺は、この少女のスペックを少々舐めすぎていたのかもしれない。
ツーハが洞窟全体を照らす程の輝きを一瞬放ったかと思うと、糸は全て灰になり、ミフューはツーハに肩を掴まれていた。
「……驚いた。まさか、ここまでとは」
ミフューは戦いをやめた。
おそらく、今のは炎技だったのか。一瞬の光が眩し過ぎて何も見えなかった。仮にハーフでも、複数の属性の技を同時に出すのは相当難しい筈だ。だったら光って燃やしたのか?
ガキだと思ってたのに、今ははしゃぎもせず負かした相手を見つめている。なんていうか、フィラに似ている気がする。