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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第八章 サポーターの極意
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第五部 絵本

 イネイです!

ライトさんたちが頑張っているのに、私はのんびりしている訳には行きません!ということで、私はイムさんと一緒に図書室の本を漁っていました。

「凄い量だな。これだけ集めて、それを守っていくことは容易では無かろう」

「別に私たちがやった訳じゃないですが、前の人に感謝です」

イムさんは本を自分の近くに引き寄せたり遠ざけたりして出し入れしていた。

それでも、知っている歴史書ばかりだった。やっぱり統制の目を掻い潜るのは難しいか。

「いっそのこと、人間界出版のものを探してみるのはどうだ?統制は無く、外交官が書いている可能性もあるからな」

というイムさんの言葉を基に、高さは私の二倍、幅は私がめいいっぱい腕を横に広げた三倍くらいの本棚にぎっしり詰まった本たちを見てみることにした。

正直、空想のものが多かった。それでも、石ころの中に混ざっている真珠を見つけるように、延々と、地道に。突如、それは私の目に留まった。本当かどうかは別として、これは狐の国の秘密が載っていた。

「こんなのもあったぞ」

イムさんは絵本を取り出した。その絵本の内容は様々だった。

『昔々、ティアラをつけたお姫様がいました。お姫様はそのティアラをとてもとても大事にしました。やがて、そのお姫様が亡くなりましたが、ティアラは代々お姫様に受け継がれ、輝き続けています』

『ある時、仲良しの双子がいました。しかし、狼が二人を襲い、一人が捕まってしまいました。その一人は、決してもう一人の居場所を話しませんでした。そこに、猟師がやってきて、狼を殺してその子を助けました』

など、かいつまめばこのような本たちがたくさんありました。

「でも、これがなんで手掛かりになるんですか?」

「その本と同じ作者だからだ」

確かに、どれも『神崎風喜』という作者です。

「じゃあ、この人って……」

私は自分の見つけた本を捲る。

『これは、私の夢かもしれない体験記である。その世界では、獣の耳と尻尾を生やした人間が生活しており― 』

「試してみる価値はありそうだろう?」

「はい!」

私たちが絵本をまとめていると、ウーベイがやって来た。

「そろそろ寝てください!明日の会合に遅れるのでございます!」

「はーい」

明日は会合ですか。面倒だけれど、行かなければ鬼の形相のオムギさんがお迎えに来る。

「おっと。もうこんな時間だったな。失礼失礼。片付けは私がしておく」

「あっ。ありがとうございます」

手掛かりは、身近にあった。

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