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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第八章 サポーターの極意
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第四部 道外れ

 「ははっ。元気が良いのは何より」

とドラセナさんは笑うが、私からしてみれば危うく大怪我だったので笑えない。レオンさんも、

「前見ろっつっただろ」

と怒っており、ツーハちゃんは俯いていた。その様子を見て、

「じゃあ、家まで僕と競走しましょう。反省はきちんとしているでしょう?ツーハちゃん」

ツーハちゃんはコクリと頷くと、ドラセナさんと競争し始め、あっという間に見えなくなってしまった。

「あいつは甘過ぎる」

とレオンさんは呆れていた。でも、ドラセナさんの生い立ちを考えると、甘くなってしまうのは分かる気がするのだが。

「レオンさんは、ドラセナさんの生い立ちとか知ってますか?」

「んー、それが、リーダーが拾ってきたのは聞いたけど、本人は忘れたの一点張りだ」

「火傷跡は?」

「あいつからはカップラーメンを作ろうとしてうっかりって聞いたぞ」

嘘だって知っているけれど、ドラセナさんにも何かしらの意図があるのかもしれない。余計なことは言わないでおこう。

「やっぱり、そうですか」

「昔は普通のガキだったのに、気付いたらあんな感じになってたな。一歩離れた所から俺たちを眺めてるというか」

「確かに」

別に話すのが苦手な訳じゃ無いんだろうけど、必要以上の話はしないっていう感じはある。ますます、仲間にも話していないことを私に話した意味が分からなくなって来た。

「だろ。あいつ一年ぐらい前家出してたな。その頃はピアスバッチバチでさ。ほら」

とレオンさんのスマホから見せてもらった写真の中のドラセナさんは、柔和な表情は変わらずでも、ピアスまみれである。耳だけだが、所狭しと付けられている。

「えぇ……」

あまりにもイメージとかけ離れていて、驚きの声が隠せなかった。

「変な奴だろ。面白れぇ」

でも、そう言った変わった部分も、お互いに笑い飛ばせてしまうのだろう。現に、レオンさんは側から見ればドラゴンで人間っぽくは無いし、コナさんもあまりに無表情だ。

多分、普通に生きるには障壁が大き過ぎて、少し道を外れて生きるしかなかったんだろう。そうやって集まったから、会話は淡白に見えてもあんなにも素晴らしいコンビネーションが生み出せるんだろう。

「素敵だなぁ」

思わず、独り言が漏れてしまったが、

「だろ?」

と暖かく返してくれるレオンさんは、良い人だと思う。

「俺は今が一番幸せだと思ってる。周りがどう言おうが、そんなの慣れっこだしな。フォニックスも、そうなれたらいいな」

「はい」

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