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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第八章 サポーターの極意
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第三部 戦士の見る景色

 「さぁ、行きましょうか」

とドラセナさんが立ち上がった時に、偶然見えてしまった。袖口の火傷後に。

「……バレてしまいましたか」

「す、すみません」

「良いんですよ。これは、僕も物心つく頃にはあったので覚えてないんですが、躾として付けられたらしいです」

「躾?」

「詳しくは話してくれませんがね。でも、真実はどうであれ、リーダーやコナさんは親みたいなもので、セイは昔は兄、今は弟みたいなものです」

「私には多分想像しきれない事だと思います。けど、血の繋がりがなくても、家族になれない訳じゃ無いんだろうって、フォニックスに来て感じました」

「そうですか。少し焦りました。これを見て怖がられたり、気味悪がられたりしないかと」

「あはは。戦士になる人が、何不自由無い人生を送ってる訳ないじゃ無いですか。受けた傷が、何処にあるかの違いだけです」

「優しいですね。でも、その優しさの使い所は誤らないで下さい」

「はい!」

戦士はこの世界で学や資格が無くても、面接無しでなる事が出来る唯一の職業だとされている。国お抱えの私たちは例外だが。

つまり、過去に何をしていてもなれるのだ。だから、戦士は周囲から疎外されがちになるのだろう。実際に、私たちに冷たい態度で接して来る人もいた。

でも、知って欲しい。たまには、いい人もいるんだって。大きな志を持っている人も、もうそれしか仕事をやれない人もいるんだって。

「じゃあ、ドラセナさんに使うのはどうですか?」

「……僕が何処かの回し者だとしても?」

「私の特殊能力で分かりますよ。だから、ドラセナさんは、良い人だ」

ドラセナさんは頭を掻く。

「こう言った所では、勝てそうにありませんね。僕もフィラも」

フィラさんはともかく、ドラセナさんに関しては、そんな事無いと思うのだが、本人の感覚を否定するのはお世辞でも無礼な気がしてやめた。

「さてさて。帰りましょうか。予定ではフィラが一番最初に帰って来るのですが、家事なんて絶対しないので」

「そうですか。姉さんみたい」

「じゃあ、案外似たもの同士の師弟関係かもしれませんね」

「そうですね」

その後、私たちは当たり障りの無い会話をしながら歩いていた。ツーハちゃんがぶつかって来るまでは。

私の景色はぐるりと回り、砂利道に倒れた。

「ぐひゃ」

とツーハちゃんも倒れたが、私は頭が痛かった。

「大丈夫ですか!」

幸い、受身のおかげで出血もなく、腫れても来なかった。

「ツーーーハー!」

レオンさんが怒鳴り込んで来た。

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