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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第八章 サポーターの極意
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第二部 凡庸

 「それでは、今日の僕は技を使いません。体術のみです。その状態で僕に触れたらあなたの勝ちです」

「でも、それは」

「不平等と言いたいのですか?大丈夫ですよ。あなたの成長に合わせてやる事を増やして行きますから」

私は頷いて、吹雪を起こした。この室内という状況を利用させて貰おう。

ドラセナさんはまだ立っているだけだった。私は壁に氷を張り付かせ室内を狭くして行く。そして、一気に近付いたが、案の定ひらりと避けられた。

でも、妖力的にこれ以上氷を出すのは控えた方が良いだろう。じゃあ、上手い事誘導するしか無いか。

右、右、右。次は奥。左に行ったら蹴る動作で阻止。そうやってどんどん隅に追い込んで行き、触れようとしたが、ドラセナさんは背後の氷を壊し、破片で私の目を眩ませた。その隙に、逃げられてしまった。

「まぁ、凡庸な発想ですかね」

何も言い返せなかった。

「今日はこれで終わり。チャレンジはまた明日、です」

ドラセナさんはいつもの調子に戻ると、瞬間移動ではなく歩き始めた。

「基礎体力も大切ですからね」

「はい」

「いい返事です。弟子が出来るって、こんな感じなんですね」

少し歩くと、ドラセナさんは自販機の前で立ち止まった。

「頭使った後の甘いものも、悪く無いと思いませんか?みんなには内緒ですよ」

ドラセナさんは唇の前に人差し指を立てる。

私はホットカフェオレ、ドラセナさんはオレンジジュースを買って飲んだ。

「アインさんは、何か戦士になるきっかけがあったんですか?」

「いや、始めは経理のつもりでフォニックスに入ったんですけど、気付けばみんなと戦いたいって思ってましたね。なんか、曖昧な動機ですけど」

「そうなんですか。良いですね。なんだか、眩しいです」

「ドラセナさんたちも仲良さそうな気がしますけど」

「いや、そういう意味じゃ無いんです。そういう青春らしさが懐かしいなと。昔はフィラさんとよく張り合ったものです。今ではもう勝てる気がしませんが」

「そんなこと」

「ふふっ。良いんですよ。アインさんは、どこ出身で」

「ええと」

「言い辛かったのなら、僕の失言ですね。すみません。単純に興味だけだったので」

「あの」

「はい」

「謝らなくても、良いと思います」

ドラセナさんは一瞬固まったが、また直ぐに微笑んんだ。

「駄目ですね、世渡りをしているうちに、染み付いてしまったのでしょうね、きっと」

「世渡り?」

「戦士にも色々あるんですよ。いずれ分かる時が来るでしょう」

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