第四部 高等妖術
帰ると、既にフウちゃんとクオさんがいた。
「あら。おかえり。夕飯の準備準備」
クオさんはいそいそと動き出した。それに対して、フィラは椅子に座ってパソコンを開いた。
「一人でええん?」
「ああ見えてクオはリーダーの次に家事能力あるから大丈夫。僕は依頼主と連絡したいし」
「依頼?」
「修行を兼ねて任務をして貰ったメンバーもいたから。報酬の交渉はきっちりしないとね」
師匠は集中し始めたので、フウちゃんと話す事にした。
「私たちも倒したぞ。デカい蝿」
「フウちゃん平気やったん?苦手やって言っとらんかったっけ?」
「まぁ、気合いだ」
「あはは、ホンマに?」
「……」
「ええで、気にせん気にせん。答えやんくっても」
「そうか?」
なんかおもろい事ないかなぁ。これと言ってしたい事も思い浮かばんし。
「師匠ー暇やー」
「……分かった。仕方ないから、一つ教えてあげるよ」
師匠は機嫌悪そうやけど、ま、大丈夫やろ。師匠は私たちの方へ体を向けて話し始めた。
「そうだね。じゃあ、空間術の話をしようか」
「おお、それは見た事あるわ」
「そうだな」
「あれは基本的には才能のあるなしで使えるかどうかが決まるんだけど、分類上は高等妖術だから、高等妖術が使える様になったら誰でも出来るらしいよ」
「高等妖術?」
「高等妖術は、僕たちの妖気を練り上げる事で繰り出せるようになるワンランク上の技。つまり、スイン、君が発生させた水の弾丸を、更に身体の外でも強化させるって事」
「出来たら凄いよなぁ」
「確かに、妖気も操れるのは強そうだ」
「妖気の量は調整出来ないけど、それを鎧みたいに固めて防御を上げたり、逆に攻撃になったりするらしいよ」
「師匠は使えるん?」
「一応ね。でも、僕は防御にしか基本は使わないからね。今日君が破壊した奴」
「あーあれな」
「つまり、それを習得すれば、見えない拳を完璧に作り出せるな」
「え?妖気飛ばしの事?それも初歩的な高等妖術の一つだよ」
「ずるいで、フウちゃん」
「え?本当か?」
「うん。それで物を粉々に出来るのは中級レベルらしいけど」
フウちゃんはさっきから目を見開いている。
「ええなー」
「やりたいなら、ちゃんと練習について来て」
「はぁい」
「空間術の話に戻るけど、あれの最大の広さは妖気を感じさせる範囲だよ」
「じゃあ、怒った時は広くなるん?」
「妖気は感情による変化なんて無いよ。怒った時は、無意識に微弱な妖気飛ばしをしてる」
「へぇ」
なんか、難しいけど、面白い。




