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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第六章 ミステリアスでもいい人
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第三部 見えない拳

 一時間後。昼飯を済ませた私たちは、最初に戦った時に使ったバトルコートへやって来た。

「私のとっておき。よく見ておいてね」

クオはコンクリートの塊を置いた。そして、じっとそれを見つめたかと思うと、カッと見開く。それだけだった。それだけで、コンクリートの塊は砕ける所か粉になってしまった。

「この技、人に見せるのは初めてなんだけど、あなたの答えを聞いたんだから、応えなきゃってね」

正直、私の答えがそれ程良いものには思えないが、クオからしてみれば良かったのかもしれない。

「でも、さっきのじゃ」

「分かってるわよ。あれだけで完璧に理解して真似できたら一年かからな「いや、違くて」

「さっきのじゃ、こういったただの物なら壊せても、妖気を含んだものは壊せないんじゃ」

「どうして、そう思ったの?」

「妖気を衝動波、と言ってもほんの一部、対象に向かっている物だけですが変えて壊していたからです」

「……あなた、私が思ってるよりかは勘が良さそうね。その通りよ」

「やれるかどうかは別の話です」

「あはは。理屈が分かったら後は感覚を掴むだけよ。あと、敬語じゃなくたっていいのよ」

その後、私は妖気を衝動波に変える感覚を掴むため、実際に受けてみる事にした。

「うっ……」

最初はクオに向けていた前の皮膚がピリピリする感じだったが、それが後ろに伝わっていく。更に、ズンっと体が一瞬だけ重くなった。

「どう?」

「もう一回」

「あんまりやり過ぎると体に悪いわよ?」

「あと一回だけ」

もう一回、確認したら、あるいは。二回目も同じ感覚だった。

「一回、やってみる」

「じゃあ、レンガ置いとくわね」

私は大きく深呼吸をし、レンガを見つめた。目がレンガの小さな傷を捉えられるようになるまで。

そして、体から出ている妖気をグッと堪える。これが難しい。方法が違うかもしれない。

じゃあ、あのレンガをテールハンドで壊すイメージで。動かずに頭の中で構え、一気に殴る。

見事にレンガは割れたが、粉々とまでは行かなかった。

「私とは方法は違ったけれど、そっちもそっちで応用すれば見えない拳になるかもね。それに見合った集中力も必要になってくるかもだけど」

「ありがとう、ございます」

成功したらどっと疲れがやって来た。確かに、集中力が肝になってきそうだ。久しぶりにうなぎの肝吸い……じゃなくて。絶対疲れてるな、私。

「ちょっと休憩したら、集中力をあげるのをがんばりましょうか」

私は頷き、その場に座り込んだ。

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