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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第六章 ミステリアスでもいい人
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プロローグ 戦う意味

 フウワだ。

私はクオという人に戦いについて教えてもらう事になったが、どう言う訳か部屋に呼ばれて話をしている。

「改めて、よろしくね。どうしても、聞いておきたいことがあって」

クオは私をじっと見つめる。

「どうして、あなたは戦うの?」

急にそんな質問をされ、どう答えようか分からず考え込んでしまった私を他所に、クオは続ける。

「別に、戦士じゃなくたって稼げる仕事がない訳じゃないし。命懸けでも、割に合わない仕事だって多いでしょ?それでも、戦士っていう道を選んだあなたの答えが知りたい」

最初は、弟との約束だった。でも、それを言おうとすると、喉に何かが支えている。きっと、私も意識しないうちに、別の答えを見つけているんだろう。

ライトみたいに、目の前の人を救いたいなんて、崇高なものじゃない。

シンみたいに、何か具体的な目標があった訳でもない。

ツーハみたいに、誰かに憧れた訳でもない。私でいうと、バトルプリンセスになるんだろうけど。

私は、なんのために……。

単純に稼ぐ為だろうか。でも、正直バイトした方が稼げるんじゃないかと思った時期もあった。それでも、フォニックスに居続けたのは―

「そこに、頼りにしてくれる、託してくれる仲間がいるから、か」

少し前の自分なら、こんな他人頼みな考えはけしからんと考えていただろう。

でも、それ以外の理由が見つからなかった。

「あら。……」

こんなに短気で、すぐに手が出る私を、突けば壊れるような脆い自尊心を、力でしか守れなかった私を、丸ごと包み込んで、受け止めてくれたのは間違いなくあいつらが初めてだ。

「あと、置いていかれたくない、人がいる」

壊れかけの心を抱えて、全てに区切りをつけに行ったあなたは、きっともっと強くなれる。

帰って来た時に、弱くなったなんて思わせたくない。まだ、変わらないでいたい。

「いいじゃない。それは、他人に貰ったものなんじゃない?自分の輪郭を描くための、線を」

クオは私の手を取った。

「いい答え。気に入ったわ。私のとっておきを教えてあげる」

この答えは、多分私の最終的なものじゃない。これから変わる事はいくらでもあるだろう。

今の私を例えるなら、支柱に支えられている苗木だろう。

太く大きくなって、支柱が要らなくなるその時までは、縋らせて欲しいと思うのは少々身勝手だろうか。

「さぁ、行きましょうか」

クオについて歩いて行くと、市街地にやって来た。

「今日はここ。振り落とされないように頑張ってね」

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