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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第五章 師匠というより兄貴っぽい
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第五部 喰らいつく

 俺はそのまま自分の部屋に戻ろうとしたが、トイレからセイが出て来た。と思えば、セイは右手を俺の右肩に回した。

「聞こえてたぜ。お前、いい事言うじゃん」

聞かれていたという事実の気恥ずかしさと戸惑いで、何も言えなかった俺だったが、セイは続けた。

「俺にも、同じような奴がいるって、今日、話したよな。俺にはあいつには出来ない事が出来るから、隣にいられるって」

セイは目を伏せた。

「甘えだよな。隣にいるって言うのは、同立でもなんでもなくって、そいつの視界から消えない様にしてるだけ。スタートもしないスタートラインを守り続けてるだけだ」

セイは俺から離れた。

「俺の目指してる奴は、一生かかっても超えられないくらいすげー奴だ。でも、スタートしなきゃ、何にもならないよな」

セイは自分の部屋に向かって歩き出す。

「サンキュ、大事な事思い出した。一生喰らいついてやるぜ」

セイは自分を下げてたけど、今日見た限りでは俺なんかよりずっと、近づこうとしてた。

甘えてたのは、俺の方だ。悔しいけど、あいつの優しさをあてにして、捨てられないだろうって高をくくっていたんだろう。

でも、フォニックスは変わる。

今までのみんな仲良しって感じじゃなくて、もっと必死に勝利を掴みに行くようになるんだろう。

俺は、もっと焦っとけば良かったのかもしれない。

そう思っても、失った時間は帰って来ない。

だから、気付けた事に感謝して、今から頑張るしかねぇな。

多分それは、シンも同じだ。


 イネイです!この場をお借りして、近況報告させて頂きます!

私はフォニックスの本拠地にウーベイを呼んで二人暮らしするつもりでしたが、なんとイムさんが残る事になりました!

「姉さん、これ、居候ってやつですよ?いいんですか?姉さんの稼ぎを利用してのうのうと暮らそうって思ってるだけかもしれませんよ?良いんですか?」

とウーベイは怪訝そうでしたが。

「良いんですよ。覚えてませんか?ウーベイ。私の恩人ですよ」

そう。私が銃で撃たれた時に助けて下さったのはこの方だ。

ウーベイは大きく目を見開いた。顔に出やすい所がまた可愛らしい。

「でも、あまりに酷い時は追い出しますからね」

イムさんは魔女の腰掛けに座ってゆらゆらしていた。

「もちろん、手伝って貰いますよ」

と私はイムさんに箒を手渡した。

「では、こうしよう」

イムさんが手を離すと、箒は自ら歩く様にしてゴミを集めて行った。

「魔法みたい」

イムさん、やっぱり、只者じゃ無い。


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