プロローグ 目標
エントだ!
翌日、俺はセイさん?に連れられて昨日戦ったバトルコートにやって来た。
道中はなんとなく話しかけ損ねていたが、多分今からは話しかけてくれるだろう。
「ごめんな、ちゃんと案内したくて、地図ばっか見てた」
と言ったセイさんは穏やかに微笑んだ。戦ってた時とは打って変わって、なんだか優しい感じだ。
「……あ、いや、別に……」
もっと真面目なタイプだと思っていた俺は、しどろもどろに返事をしてしまった。
「あ、別にタメでもいいぞ?俺、年功序列嫌いだし?」
「えっ、じゃあ、セイ?」
セイはニィと口角を上げると、バトルコートを見た。
「フィラは言っていないけど、俺は言われて貰うか。みんなには内緒だぞ?俺は未だにコナさんに頭が上がらない」
セイはバトルコートの中に入った。
「二年後に、戦士の大会があるんだ。それこそ、世界中の奴らが集まって来る、デッカい奴。お前らの最終目標は、そこで俺らと戦う事」
戦士の、大会。戦闘集団の序列が決まる大会なのだろうか。
「と言っても、俺らも参加した事無いから分かんないけど。あいつは優勝する気満々で行くだろうけど」
セイは頭の後ろで手を組み、空を見上げた。
「ってな訳で、よろしくな!」
「あ、ええと、うん?」
「よし!じゃあ、頑張るぞ!」
セイが真っ先にバトルコート近くの小屋から取り出したのはダンベルだった。
「シンプルに筋トレって事か?」
「そうだ。エント、筋はいいから鍛えたら結構戦えると思うぞ!」
スクワットとか、腕立て伏せとかは、今までもやって来ていた。でも、セイとやるそれらは回数は多いし、ダンベルなんて使った事なかったしで、結構大変だった。
既に筋肉が痛いし、息も上がり切って苦しい。口の中に唾が貯まるのを飲み込み続けた。
「おっと。全然気づかなかった。休憩だ休憩」
小屋の陰は涼しかった。セイから渡されたドリンクは火照った体に染み入るようだった。
「すっかり夢中になってた。オーバーワークは逆効果なのにな」
「いや、これだけでバテてる自分が情けない……」
「そうか?逆にここまでやれるのはリーダーとレオンくらいだし。フォニックスの中では一番力ありそうだけど」
「いや、うちにはフウワっていうゴリラがいるから」
セイは声を上げて笑った。
「本人の前では言うなよ?まぁでも、体幹はしっかりしてるよ。押し負けてるのは、今はただ発展途上ってだけだ」
セイは立ち上がった。
「さてと。後半戦、行けるか?」
「ああ」
「いい返事だ」




