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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第四章 師匠が純粋すぎる件について
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第五部 平和な会話

 その日の夕食の後、俺は真っ先にコナさんに嘘を吹き込んだクソ弟、エントに近づいた。

「エント、テメェ」

「ごめんって!ちょっとした出来心で!」

エントの胸ぐらを掴もうとしていた俺の腕を、コナさんは掴んだ。

「状況は分かりませんが、喧嘩は良くないと思います」

その背後でエントが、そーだそーだとやかましい。

コナさん、あなたに嘘を吹き込んだ事に怒ってるんですよ……。

という言葉が腹から競り上がって来たが喉元で止まった。

怒りが収まらない俺だったが、エントにセイさんが近づいて来た。

「お前……コナさんに嘘ついたのか?」

エントの肩がビクッと跳ねた。エントは途端に震え出した。

あー愉快愉快。怒りも無事収まった。

「?嘘?」

当事者のコナさんが一番状況を理解できていないのは一番謎だったが、まぁそれは良いとして。

「いや、なんでも無いっす。コナさん、人から貰った情報は鵜呑みにしないで下さいね?」

「はい。急にどうしたんですか?」

無表情でも、首を傾げているとある程度の感情は読み取れる。案外、話し辛くもなかった。

「あ、ライトさん。ここの寝室、全て完全防音完備なので、音楽とか聞いてもらっても大丈夫ですよ」

「凄いっすね」

「元々国の主要機関の建物で、盗聴を警戒しての事だったそうです」

「なんか、かっこいいっすね」

「そちらもガイコウカン?の宿舎だったと聞いていますし、建物の使い回しは悪い事ではないと思います」

聞き馴染みの無い言葉の発音に違和感があるのは、仕方ないだろう。というか、失礼ながら子供の様な愛らしさも漂ってる気がする。

「そちらには何があるのですか?」

「えーと、図書館とでっかい食堂があります」

「図書館ですか。こっちはフィラが買い集めて出来た図書室ならありますが……遠く及ばないと思います」

とコナさんは言いながらもその図書室とやらに連れて行って貰った。

確かに、寝室一つの広さではあったが、辞書なんじゃ無いかと思う程分厚い本がずらりと並んでいた。

「自由に見ても、大丈夫ですよ」

俺はそっと適当に一冊取り出して開いたが、目がチカチカする程の活字が目に入り、すぐに閉じた。

「本は苦手でしたか?」

「いや、俺の知ってるレベルの本じゃ無かったっす……」

「あの子、小さい頃から随分とませてましたから。こんなの、私だって読みませんよ」

フィラの小さい頃……今とそんなに変わりなさそうだ。

「しかし、あの子の急成長ぶりには、私もついて行けませんでしたよ」

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