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フォニックス 白雪の戯れ  作者: ことこん
第四章 師匠が純粋すぎる件について
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第二部 弁当って冷たい

 俺は一からコナさんに鬼ごっこについて教える羽目になった。

「ありがとうございます。良く分かりました。気を取り直して、自分の課題は良くわかった筈です」

「はい」

でも、やっぱりしっかりした戦士なんだな。

「では、これは私から十分間逃げ切れたら合格としましょう」

コナさんは腰のリボンを外すと、次はナイフを取り出した。

「ここからは、本気の戦いにしましょう」

先程の雰囲気とは打って変わって、俺は無意識に唾を飲んでいた。

「うっす」

コナさんが動き出すと同時に、俺は右に走った。

コナさんは俺を飛び越えて先回りし、右手のナイフを投げて来た。

俺はナイフを避けると、脚に雷を纏わせて突っ込んだ。

コナさんはそれをスレスレで避ける。

かと思っていたら、何かに躓いた。

「おわっ」

俺は何も無いところでこけてしまった。コナさんのナイフが飛んできていた。

まずい。このままじゃ、終わってしまう。

俺は床に手をついた。すると、糸があった。

俺がそれを引っ張ると、飛んで来ていたナイフが途中で落ちた。

一体、何が起こってるんだ?

混乱気味な俺に、コナさんが拍手をしながら近づいて来た。

「まさか、初日に気付かれるとは思っていませんでした」

コナさんは二つのナイフを拾い上げ、俺に渡した。

ナイフの装飾かと思っていた穴に、糸が通されており、二つのナイフは一本の糸で繋がっていた。よく目を凝らさないとわからない程透明だが。

「私は糸属性。この糸は伸縮自在で、私の意思で切れます」

糸がひとりでに切れ、消えた。かと思えば、復活した。

「たまたまっす」

「しかし、ナイフが迫って来ていたあの局面で、床に意識を向けられる人はそういませんよ。案外、冷静なんですね」

「買い被りすぎっす」

あれ、俺、無意識のうちに昔みたいな口調になってる。

「あっ、変な喋り方になってました」

「良いですよ。方言とやらもご自由に。意味が伝われば良いので」

これって、方言判定して良いものだろうか……?

「明日からは、本気でやりましょう。と言う訳で」

コナさんが二つの弁当を鞄から出した。

「昼食にしましょうか。弁当という文化に馴染みはありませんが、リーダーが作ったので大丈夫でしょう」

それから、俺とコナさんは並んで昼食をとった。

コナさんは、「冷たい」と独り言を言っていた。そりゃそうだ。

中身はサンドウィッチだった。リーダーには悪いが、二日目にして白米が恋しくなっているのは俺だけじゃ無いはずだ。

「終わったら走り込みです」

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