第五部 同調
夕飯は、ペアが隣になって食べる事になった。正直、独り言を食事中も言い続けられるのは困ると思っていたが、そんな事は無かった。
「これ、美味しいよ〜」
と俺にしきりに話しかけて来る。正直しつこいが、楽しそうなのでいいか。
「鶏肉か?」
「そー!」
言われた通りに口に運んだパスタは鶏肉の入ったオイル系だった。
「ねぇ、目怪我してるの?」
まぁ、常時目を隠すように帽子を被っていたら、そう思われるのも珍しく無い。ここは兎の国だし、別に脱いでもいいか。
「綺麗!」
俺が帽子を脱ぐなり、ニアはそう騒ぎ立てた。皆の視線が俺に集まる。
「確かに。イケメンって言うより美男子って感じ」
とクオは言い、
「こんな綺麗な人、現実にいるんだね。国傾けたりして」
なんてフィラでさえ言う。
俺ってそんなに言われる程なのか?
「すみません。お気になさらず」
とドラセナに謝られたが、俺は慣れている。
「大丈夫だ」
風呂に入った後、俺たちは寝る前に雑談をしていた。
「エントって、セイに似てるね」
とフィラが言うと、本人たちは首を傾げた。それは俺も同意だ。
「まぁ、雰囲気は」
とドラセナも同調していた。
「まぁ、お節介でやかましいのはセイだけだろうね」
とフィラが言うと、セイは
「フィラ!それはお前が悪い!」
と保護者の様だ。フィラって案外、普通なのかもしれない。言ってる事はむかつくが。
「俺はセイの方が好き〜」
とニアはセイにくっついて離れず、フィラは呆れていた。
「お好きにどうぞ。別に僕は自由にやってくれていいと思うし。ね、レオン」
「ん?なんで俺に振った?」
そんな二人を見たクオがクスクス笑いながら、
「それは、レオン君がf「だーっ!違うっての!あくまでラ・イ・バ・ル・だ!」
レオンは急に大声を出し、フィラは顔をしかめて、
「うるさい、レオン」
つくづく、仲が良さそうだ。
しかも、フォニックスも既に友好関係を築き初めている。
アインはもうクオと延々と話している。
「でさー、結構厄介なのよねー」
「そーそー。もっと素直になってくれればこっちの苦労も無いのに」
いや、何の話だよ。
ゼノは少し心配だったが、少しでも暴れようとすればリーダーが片腕をゼノの胴に巻きつけ抑えていた。
「……ぶぅ」
「その勢い、絵にぶつけてみないか?」
と落書き帳と色鉛筆を取り出す姿からは、育児に慣れているのが容易に想像出来た。
最初はどうなる事かと思ったが、案外馬が合う様で。このメンバーで一年過ごすのも、悪くないかもしれない。




