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地原さんには、地雷なんてない。  作者: 飯田ゐるか
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1話 retreat and advance

僕は崖淵(がけぶち) 極春(きわはる)。まさに陰キャの塊である高校2年生。学力は毎回10位以内にランクインしているけど、運動能力は0に値するほど。だから体育だけ成績が2なんだ。でも、こんな僕と一緒にいてくれてるのは、「極春くーん!一緒に帰ろー!」「あ、うん、今行く!」彼女は佐倉(さくら) 塔亞(とうあ)。うちのクラスで一番可愛い女の子で、僕の彼女でもある。若干陽キャなのは苦手だけど、なにかと気遣ってくれたり庇ってくれたりする、素敵な子だ。「極春くーん、塔亞の事まだ好きー?」「う、うん、大好き…」「もー、何よその言い方〜私の事が嫌いみたいじゃないのよ」「あ、うん…ごめんね」たまにこういう事で少し揉めてしまうけど、幸せだから全然気にしていなかった。………そう、11月までは。

【11月某日】

「極春くん、ちょっといーい?」佐倉さんが少し離れた場所から、小さな手をヒラヒラさせてこちらに視線を送ってきた。何だろうと思って、僕は彼女の後をついていく。まあ、好奇心だけじゃなく、呼び出されたというのもあるけど。少し暗い場所に呼ばれたので内心焦ったけど、「どうかしたの?」とこちらから質問を投げかける。すると佐倉さんは、急に険しい顔をして、「あたし、あんたと別れたい。だってお前の事大っっ嫌いだから」と僕に向かってまるで醜い物を見るような言い方で答えてきた。「ま、待ってよ。何で別れようと思ったのか、理由だけ聞かせてよ」と思わず挙動不審になって聞く。すると、「だってお前、あたしの引き立て役として彼氏になったつもりが、ここ最近全然言うこと聞いてくれないんだもん。使えねーやつはこの超絶可愛いあたしに相応しくねえんだよ!!」と怒鳴ってきた。さらに死角から男女数人が出てきて、ゲラゲラ笑ってはこう言う。「あんた、ほんとに塔亞に好かれてると思ってたの?ウケるww」「お前みたいな陰キャのガリ勉は塔亞の彼氏になれるわけねーじゃんw」僕は、ただ利用されているだけだった。何故 気づかなかったのだろうか。何故 幸せに無我夢中になっていたんだろうか。愚かすぎて虚しくなって、気づけばその場から逃げ出していた。「おい!逃げんなよ!」「話聞いてんのか崖っぷち!」後ろから暴言の嵐が追ってきたが、何とか振り払ってそのまま屋上に居座る事にした。「何なんだよ陽キャって。…でも、利用されてる事に気づかなかった自分も悪いよな」ひとり反省しながら空を眺めていると、誰かが屋上に入ってくる音がした。もしかしたら佐倉派閥かもしれないと思わず身構える。だが、予想と全然違う、意外な人物が入ってきたのである。「あれ?崖淵君ここにいたのか〜…はぁ、やっと見つかったー」僕の目の前で、学校中を走り回って疲れたのか息を弾ませているこの人は、常に学校に地雷メイクをしてやってくる、いわゆる地雷系女子の地原京香(じはら きょうか)だった。彼女は明るく、男女に対して分け隔てなく接する。だからクラスの人気者にもなっているのだ。「な、なんか用?もしかして佐倉さんと…?」「あー、違うよ違う。私はあの子みたいに目の前のことしか見えてないような性格じゃないから。大体私、友達なんていらないし」「なっ、なんで?なんで友達が不要なの?」「それはまた後で話すよっ。なんで私が君を探してたのかっていうと、私自身が探したくなったからだよ」「…ん?矛盾してない?だって先生に指示されたんでしょ?」「違うよー先生に指示されたんじゃなくて、君を探しに冒険したくなったの。つまり、自分の意思で行ったってことよ」「でも、逆に知りたいよ。何で僕なんかを探しにやってきたの?」まさかこの後、衝撃的な返答が返ってくるとも予想せずにそう聞いた。聞いてしまった。「そんなの簡単だよ?私が、君を好きだから」「…はい?」地原さんみたいに明るい人が、僕を?ガリ勉の僕を?「ど、どうせ佐倉さんと同じように利用するんでしょ!もう騙されないから!」思わず強めに言ってしまったけど、これは仕方がない。ついさっき、「使えない」と振られたのだから。けど地原さんは、「だから違うっての!私、そんな腹黒くないから。むしろ潔白。正真正銘君が好きなんだよ?私は」は?の連鎖が脳中でずっと反復されていた。この時、僕はまだ知らなかった。彼女のおかげで、僕の人生が180度変わるという事を…

最後まで読んでくださり誠にありがとうございます!初投稿なので少し緊張しましたが、自分の全力を出させていただきました(笑)好評でしたら、次の話も考えておきます。何卒よろしくお願いします!

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