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淡々後漢書  作者: ンバ
第十六、寇恂伝
57/102

一・二、上谷の名家/印綬を奪い返す

光武の蕭何、河内を死守した名宰相、

席次5位の寇恂こうじゅん伝です。

1.

寇恂字子翼,上谷昌平人也,世為著姓。恂初為郡功曹,太守耿況甚重之。

(訳)

寇恂こうじゅんは字を子翼しよく上谷じょうこく昌平(しょうへい)県の人である。


世世著名な家系であった。


寇恂は初め郡の功曹こうそうとなり、

太守の耿況こうきょうは甚だ彼を重んじた。


(註釈)

寇恂こうじゅんは雲台28将の第5位。

彼も文武両面に秀でたオールラウンダーです。


幽州上谷郡の名家出身で

太守の耿況こうきょうから評価されて

郡の功曹になった。


功曹は要するに経理の仕事。


また、耿況こうきょうは4位の耿弇こうえんの親父です。



2.

王莽敗,更始立。使使者徇郡國,曰『先降者復爵位』。恂從耿況迎使者於界上,況上印綬,使者納之,一宿無還意。恂勒兵入見使者,就請之。使者不與,曰:『天王使者,功曹欲脅之邪?』恂曰:『非敢脅使君,竊傷計之不詳也。今天下初定,國信未宣,使君建節銜命,以臨四方,郡國莫不延頸傾耳,望風歸命。今始至上谷而先墮大信,沮向化之心,生離畔之隙,將復何以號令它郡乎?且耿府君在上谷,久為使人所親,今易之,得賢則造次未安,不緊則只更生亂。為使君計,莫若復之以安百姓。』使者不應,恂左右以使者命召況。況至,恂進取印綬帶況。使者不得已,乃承制詔之,況受而歸。

(訳)

王莽おうもうが敗れると、更始帝こうしていが立った。


使者に郡国を徇らせていわく、

「先に降った者は爵位を復旧する」


寇恂は耿況に従って

使者を界上に迎えた。

耿況が印綬を献上すると

使者はこれを納れたが、

一泊した上で返還の意思を

持たない様子であった。


寇恂は兵をおさえ、入りて使者に見えると

返還を要請した。


使者は(印綬を)与えようとせず、言った。


「天王の使者を、功曹が

脅迫しようとするのか」


寇恂は言った。


「敢えて使君を脅迫しようなどとは

考えておりません。

計画が詳らかでない事を

密かに傷んでいるのです。


今天下は平定されたばかりで

国家の威信は宣布されておりません。

使君は節義を打ち立て命を銜えて

四方へと臨まれておりますが、

郡国に首を伸ばして耳を傾けぬ者はなく

風向きを見ながら帰順しようと

考えているのです。


今、初めて上谷へと至りましたが

先んじて信望を大いに失墜させ

教化を受け入れんとする心情を沮喪し、

離反の間隙を生じさせております。

また他郡に何を以て

号令なさるおつもりなのです?


かつ、耿府君は上谷に在りて

久しく人を使い、親しまれております。

今府君を代えられれば

賢人を得ても間に合わせと思われ

安定を得られません。

弛緩すればすなわち

更なる混乱が生じるだけです。


使君の為に計るならば、

印綬を元に戻していただき

百姓を安心させるに

越した事はないものかと存じますが」


使者が応じずにいると、

寇恂の左右が使者の命であるとして

耿況を招呼し、耿況が至ると、

寇恂は印綬を奪い取って

耿況に帯びさせた。


使者はやむをえずに承制して

これを宣言すると

耿況は拝受して戻っていった。


(註釈)

時代の旗手が王莽から

更始帝に移ると、その使者が

上谷郡にもやってきた。


「降伏すれば元の地位は保証する」

という呼びかけに、

上谷太守の耿況も印綬を差し出すが

使者はぐずぐずして印綬を返さない。

賄賂を要求しているようにも見えるし

実際のところは結構

行き当たりばったりだったようだ。


人々は首を長くして

新たな王者の教化を待っている

状態だったわけだけど、

これにはガッカリである。


寇恂は正論口撃で使者を黙らせて

印綬を奪い返し、叙任を認めさせた。


めちゃくちゃ頼りになるわね。


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