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淡々後漢書  作者: ンバ
第十五、李通伝
4/102

三、李氏一門族滅!

3.

季於道病死,守密知之,欲亡歸。素與邑人黃顯相善,時顯為中郎將,聞之,謂守曰:『今關門禁嚴,君狀貌非心,將以此安之?不如詣闕自歸。事既未然,脫可免禍。』守從其計,即上書歸死,章未及報,留闕下。會事發覺,通得亡走,莽聞之,乃系守於獄。而黃顯為請曰:『守聞子無狀,不敢逃亡,守義自信,歸命宮闕。臣顯願質守俱東,曉說其子。如遂悖逆,令守北向刎首,以謝大恩。』莽然其言。會前隊復上通起兵之狀,莽怒,欲殺守,顯爭之,遂並被誅,及守家在長安者盡殺之。南陽亦誅通兄弟、門宗六十四人,皆焚屍宛市。


(訳)

(常安へ向かっていた)李季りき

道において病死してしまい、

李守りしゅは密かにこの事を知ると

(南陽へ)逃亡しようとした。


もとより親善であった同郷の黄顕こうけん

この時中郎将(ちゅうろうしょう)の任にあったが、

この事を聞いて李守に言った。


「今、(常安=長安の)関所の門は

固く閉ざされているぞ。


君の容貌は※尋常ではない、

(※李守は身長2mを超える巨漢)

まず、通れないのではないか?


ここは、関を詣でて

自ら帰順するに越した事はあるまい。

事がいまだ起こっていないからには

禍を免れる事ができよう」


李守は黄顕の言葉に従い、

即刻「死刑に処してください」と上書し、

ふみが届けられるまでの間は

関に留まっていた。


事が発覚すると李通は逃亡し、

王莽おうもうはその事を聞くと

李守を獄に繋いでしまった。


黄顕は王莽に請願して述べた。


「李守が子の不手際を耳にしつつも

敢えて逃亡しようとしなかったのは、

己が義を信じ、宮闕へ

帰順しようとしておるからです。


どうか臣・黄顕に

李守を人質として

ともに東へ往かせ、その子(李通)を

説得させてくださいませぬか。


赴いても結局は

悖逆(反抗)するようであれば、

李守に北を向かせて首を刎ね、

陛下の大恩に謝せしめましょう」


王莽は黄顕の進言に従おうとしたが、

ちょうどそこへ前隊(大夫)から

「李通が挙兵した」という旨が

再び上奏されてきた。


怒った王莽が李守を殺そうとすると

黄顕がこれに抵抗したが、

遂には二人とも誅殺されてしまい、

長安にあった李守の親族も

盡くが(連座で)殺害されてしまった。


南陽でもまた

李通の兄弟が誅戮され、

一門宗族の六十四人は

全員宛の市中で屍を焼かれた。



(註釈)

伝達役の李季りき

最悪のタイミングで病死。


初動が遅れてしまった

李通の父ちゃんは、

同郷の黄顕こうけんに相談し、自首。

そして投獄。


「逃げる事もできたのに

自首してきたわけですから

李守に二心はありませんよ。


私が李守とともに行き

息子の李通の説得に当たります。

失敗したら、その時に改めて

刑に処してください」


と、黄顕がフォローを入れ、

王莽おうもうも頷きかけますが、

同時期に宛での挙兵計画がバレてしまい

カンカンに怒った王莽は

結局ふたりとも処刑してしまい、

かくて李氏一門も族滅されました。


郷里の富豪から一転、

根無し草になってしまった李通。

軽はずみに事を進めて

一族を死なせてしまった事を

後漢書の著者・范曄はんようから

批判されています。


のっけから躓いてしまった劉秀たちは

急いで舂陵しゅんりょうまでトンズラしました。


また、黄顕は李守と同郷……

ということは南陽なんよう黄氏ですね。

三国時代の黄忠こうちゅう黄祖こうそ

祖先という可能性もあるかもしれない。

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