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淡々後漢書  作者: ンバ
第十五、李通伝
3/102

二、挙兵に踏み切る

2.

及下江、新市兵起,南陽騷動,通從弟軼,亦素好事,乃共計議曰:『今四方擾亂,新室且亡,漢當更興。南陽宗室,獨劉伯升兄弟泛愛容眾,可與謀大事。』通笑曰:『吾意也。』會光武避吏在宛,通聞之,即遣軼往迎光武。光武初以通士君子相慕也,故往答之。及相見,共語移日,握手極歡。通因具言讖文事,光武初殊不意,未敢當之。時守在長安,光武乃微觀通曰:『即如此,當如宗卿師何?』通曰:『已自有度矣。』因復備言其計。光武既深知通意,乃遂相約結,定謀議,期以材官都試騎士日,欲劫前隊大夫及屬正,因以號令大眾。乃使光武與軼歸舂陵,舉兵以相應。遣從兄子季之長安,以事報守。


(訳)

下江かこう新市しんしの兵が決起するに及び、

南陽郡にも動揺が走った。


李通の従弟の李軼りいつもまた

もとより起業を好む人物で

李通とともに協議して述べた。


「今、四方は擾乱し、

新王室もまた亡びて

漢が再度興ろうとしています。


南陽の(漢の)宗室では

ただ※劉伯升兄弟だけが

(劉縯と、弟の劉秀)

博愛の精神で人々を受け入れており、

ともに大事を謀る事が出来ましょう」


李通は笑って言った。


「私の考え(と同様)だ」


この時ちょうど光武帝(劉秀)は

官吏を避けて宛におり、

この事を聞きつけた李通は

すぐに李軼を往かせて光武帝を迎えた。


光武帝は当初

李通を君子であるとして

互いに敬慕し合う間柄にあったため

これに応答して彼のもとへ向かった。


相見えるに及んで、

日を跨ぐほど共に語らい、

※手を取りて談笑した。

(握手極歡=とても友好的な様子)


李通はそこで具に讖文の事を告げたが、

光武帝は初め、全く思いもかけぬ

(提案という)事で

敢えて当たろうとはしなかった。


この時(李通の父の)李守は

長安にあったが、

光武帝はそこで

微かに李通を観ながら言った。


「今すぐにこのような事を実行に移せば

卿の宗卿師《お父さん》のような方は

どうなってしまうのです?」


李通は、


「已に想定済みです」


と言うと、改めてその計略の内容を説いた。


光武帝は李通の考えを

じっくりと咀嚼したのち、

最終的には互いに

盟約を結ぶことを決め、

材官(兵士)の登用試験の日を期して

前隊大夫及び属正を脅し、

大衆に号令をかけるという

謀議を定めたのである。


かくて

互いに呼応して兵を挙げるため、

光武帝と李軼を

舂陵しゅんりょう(劉秀のホーム)へ帰らせた。


更に李通は

従兄の子の李季りきを長安へ遣って

李守に事の次第を報告した。


(註釈)

新末期、南陽なんよう郡で飢饉が起こり、

人々が互いに喰らい合うという

地獄絵図が展開されていました。


劉秀の兄・劉縯りゅうえんは、乱世に備えて

命知らずの食客を養っていたのですが、

そのうちの一部が

人を殺してしまったために

官吏から追われる身となり、

劉秀はえんの方に避難していました。


予言にある「劉氏」とは

南陽の劉縯・劉秀兄弟の事だと

考えていた李通は、このタイミングで

劉秀に挙兵の呼び掛けを行います。


ここで李通から呼び出しを受けた事で

劉秀は※報復を受ける可能性も頭に入れ

(※兄の劉縯が、かつて

李通の身内を殺しちゃった)

懐に刀を忍ばせて面会に向かったと

されています。


その際、刀を隠し持ってることが

あっさり李通にばれてるのはご愛嬌。


李通は劉秀と一頻り話した後、


「劉氏が再び興り、李氏が輔政する」


という予言があるんだ!

一緒に新を倒そうぜ!


と提案。


いきなりすぎて面食らう劉秀、


「んなことしたら、長安にいる

君の親父さんはどうなるんだい??」


と、もっともらしい疑問を投げかけますが

李通は「既に策は考えてあるから大丈夫」

と、自信たっぷりの様子。


李通の話を咀嚼してから、

最終的に劉秀は首を縦に振ります。


兄・劉縯の戦力やら、

新王朝の求心力の低迷、

恐らくは赤眉軍の伸長なども

計算に入れた上での決定であり、

これらの逸話からわかるように

劉秀は基本的に慎重な性格をしています。


劉秀・李通・李軼りいつらの協議の結果、

「宛の兵士登用試験の日に

担当官を脅して挙兵する」

という結論に纏まりました。


武官の適正試験をやるからには

武装してても怪しく思われないし、

集まってきた壮士達をそのまま

味方に引き込める公算も大きいです。


李通は身内の李季りきを長安へ遣り、

親父殿への報告を任せました、がっ…。

事はそう上手くは運ばないっ。

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