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第7話 条件

「ダンジョンの探索……」

俺がオウム返しをすると、

「ああ、その通りだよ」

と松原首相が返す。


「ダンジョンの中にどんなモンスターが潜んでいるのか、どんなアイテムが落ちているのかという究明には今現在、世界各国が力を入れている。でもどこの国も上手くいっていないのが現状なんだ。正直に言って今の世の中でダンジョンの中に入っていってモンスターたちと対等以上にやり合える存在は君たちしかいないだろう。だからどうかな、日本国、ひいては日本国民のために働いてくれないだろうか?」

松原首相は「もちろん、それ相応の報酬は支払わせてもらうよ」と付け加えた。


「結城、松原首相もこう言ってるんだしよ、あたしたちでダンジョン探索してみないかっ? あたしたち二人にかかればどんなダンジョンだって攻略できるだろっ。なっ?」

新木が俺の腕に肩をぶつけてくる。


「結城くん、頼むっ」

「なあ結城、いいだろっ?」

松原首相は俺の手を取り、新木は俺を見上げ言った。


俺は心の中でほくそ笑んでいた。

だってそうだろう。俺の力を存分に発揮できて、お金まで稼げるのならこんなに嬉しいことはない。

しかも相手は総理大臣だ。

総理大臣のお墨付きでダンジョンに潜れるなんてこれほど心強い後ろ盾はない。

まさに願ったり叶ったりじゃないか。


油断すると今にも笑い出しそうになるが、俺はそれをぐっとこらえあくまで自然に振る舞う。


「……わかりました。その申し出を受けたいと思います」

「ほ、本当かねっ。いやあ、それはよかったっ。ありがとう結城くんっ」

「そう来なくっちゃ。それでこそあたしの知ってる結城だなっ」

「その代わりと言ってはなんですが、一つ条件があるんですけど……」


前置きしてから、

「ダンジョン内で手に入れたアイテムで気に入ったものがあったら俺がもらってもいいですか?」

松原首相に訊ねた。

そう質問したのはダンジョン内で俺がまだ見たことのないレアアイテムがみつかる可能性を考慮してのことだった。

ついでに言うと、先のダンジョンで手に入れた青く光る石も今のところはまだ俺自身で所有しておきたいと思っているからだが。


「アイテムか……うーん」

目線をずらし少し考えるそぶりを見せる松原首相。


一時の間があってから、

「……まあ、いいだろう。ここで駄目だと言ってせっかくの上手くいきかけた話をご破算にしたくはないしね」

松原首相は続けて、

「ただし、どんなアイテムをダンジョン内で手に入れたかは毎回報告してほしい。そしてもし可能なら、それらを個別に政府が買い取るというシステムを作りたい。ダンジョン探索という名目での報酬とはまた別で、有用なアイテムであればあるほど結城くんの意向に沿う形で出来る限り高く買い取るからさ。そういうことでどうだろうか?」

訊き返してくる。


今度は俺が考える番。

松原首相の話を聞く限りでは、自分が使いたいアイテムが出てきたら自分のものにすればいいし、いらないものなら政府に買い取ってもらえばいいということか。

つまり俺は好き放題ダンジョンに潜り、ダンジョン探索の報酬とはまた別にアイテムの換金でも稼げるということになる。


ふふっ……好条件じゃないか。


ここまで来ると我慢しようとしていても、もう笑みが勝手に溢れ出てきてしまう。

それを隠すように手で口元を覆うと俺は「……はい、ではそれでいいですよ」とさも熟考したかのごとく口にした。


「おお、ありがとう結城くん。それでは詳しい契約の話などは秘書官の佐藤に任せることにするよ。いやあ、今日は本当にどうもありがとう」

「いえ、こちらこそ」

「新木くんもありがとう。ご両親によろしくね」

「はいっす」


松原首相は俺と新木の顔を交互に見やると、やはり忙しいのだろう、ドアを開け部屋の前にいた内閣総理大臣秘書官の佐藤さんに一言二言ささやいてから去っていった。


それを受けて佐藤さんが入れ替わりで部屋に入ってくる。


「お話はまとまったようですね。それではこれから業務形態や業務内容の詳しいすり合わせをさせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか?」


俺と新木は二つ返事で承諾すると佐藤さんとの話を進めるのだった。

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