第56話 エピローグ
日本にダンジョンが現れてからはや三年。
俺は今でも新木とともに日本政府のために働いている。
日本のトップは松原首相ではなくなり別の新たな首相が誕生していたが、俺たちのやることは特段変わってはいない。
ちなみに二本松はダンジョン探索よりホストの方が性に合っているとかで俺たちと行動をともにはしていない。
俺は二十六歳になり、新木は二十二歳になった。
この年で俺たちはすでに日本人の平均生涯賃金を超える額を稼いでしまっている。
贅沢な生活を好まない新木はその稼いだお金のほとんどを家族に送っているらしい。
家族は新木が東京でキャバ嬢として成功していると信じているに違いない。
まったく、頭が下がる。
まあ、かく言う俺もぜいたくな暮らしはしてはいない。
とはいえ両親にはコンビニでバイトをしていると話しているので、大金を渡すわけにもいかず結果として稼いだお金の大部分を貯金に回しているのだが。
「おーい、結城っ。準備できたかっ?」
家の外から新木の凛とした声。
俺は窓の下を覗き見て、
「すぐ行くから待ってろ」
と新木に声を降らせる。
着替えを済ませお守り代わりの青く光る石をぎゅっと握り締めると、俺はそれをズボンのポケットに忍ばせた。
未だに青く光る石の使い道は謎のままだが、ダンジョン探索を続けていればいつかわかる時がくるだろう。
そう信じて俺は――
「結城ーっ! 早くしろってばっ!」
「わかってるから大声出すな、恥ずかしいっ」
今日も新木と二人でダンジョンに潜るのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございましたm(__)m
次回作があればまた読んでいただけると嬉しいです。