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第34話 トラップ

地下十六階でエーテルと爆弾石と石化薬を拾った俺たちはその足で地下十七階へと急いだ。


ちなみに爆弾石は投げてぶつけると大きな爆発を起こすアイテムで、石化薬は投げ当てると当たったものを石化させるというアイテムだった。


その後、地下十七階でアイテムをさらに二つ手に入れ、地下十八階で多くのモンスターを相手にし、地下十九階で一旦休憩を挟んだのち落ちていたエリクサーとハイポーションを【マジックボックス】にしまって地下二十階へと向かった。


地下二十階に下り立つと微妙な空気の変化に気付く。

それは新木も同じだったようで、

「結城、もしかしたらここが最深階かもしれないな」

と俺と同じ思いを吐露した。


俺たちはこれまでの経験からなんとなくだが最深階の雰囲気というものがわかるようになっている。

もちろん当たらない場合も多々あるのでそこはなんとも言えないのだが。


俺と新木は少しだけ緊張感を持って先へと進む。

しばらく通路を歩いていると道が複雑に入れ乱れた場所に行き着いた。

まるで迷路のようだった。


「面倒くせぇな。こんな壁なんて結城のファイナルソードで壊しちまえよ」

言葉通り面倒くさげな顔をしながら新木が言ってくる。

たしかに迷路のような通路を普通に進んでいくのは時間がかかりそうだが、だからといって【ファイナルソード】を使うのはいかがなものか。

大体ついさっき、ダンジョン内では【ファイナルソード】を使うなと注意してきたのは新木の方だったはずだ。

気分屋の新木のことだから先ほどの自分の発言などすっかりなかったことにしているのだろうな。


「面倒だけど地道に歩くしかないだろ」

「ちっ。くそがっ……」

と新木が舌打ちをした。

どうでもいいが口が悪いな。



☆ ☆ ☆



結局迷路のような通路の出口にたどり着くまでに二時間もかかった。

俺と新木は肉体というより精神が疲労していた。

地上に戻る時、また同じ通路を通らなければならないと思うと気が滅入ってくる。


「結城、あそこが出口だろ。さっさと行こう」

「ああ、そうだな」

やっと見えた出口に新木と俺は自然と足を速める。

と新木が足を一歩踏み出した瞬間だった。

フッ!

と新木の姿が俺の目の前から一瞬にして消えた。


俺は何が起こったのかわからなかったがすぐに気を取り直し、新木が踏みしめたであろう地面を確認した。

するとそこには地面の色に紛れて気付きにくかったが、たしかにトラップのボタンが埋まっていた。


「マジか……」


俺は固まってしまう。

異世界のダンジョンにもトラップというものは存在していたが、確率的にはダンジョンに百回潜って一つあるかないかくらいでしかなかったので、トラップの有無を調べるという行為については完全に頭から抜け落ちていた。


この足元にあるトラップは場所移動系のトラップに違いない。

問題はどこに飛ばされたかだ。

この迷路のような通路内なのか、それともこのフロア内なのか、はたまたこのダンジョン内なのか。

まさか地上まで飛ばされたということはないと思うが……。


ダンジョン内ではスマホのアンテナは圏外なので連絡の取りようがない。

【ゲート】もダンジョン内では使用できないし。


「どうしよ……」


俺が頭を悩ませていた時だった。


「きゃあぁっ!」

新木の悲鳴がダンジョン内に響き渡った。


おかげでこのフロア内に新木がいることは確認が取れたが、悲鳴が聞こえたのは気がかりだ。

俺はすぐさま迷路のような通路の出口を抜け出ると、新木の声のした方へと駆け出した。

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