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第24話 自宅

「あ、悪い新木。つい俺の家の前まで来ちゃった。晩ご飯一緒に食べるって話してたのにな」


扉を閉めてから俺はハッとなる。

ついいつもの癖で【ゲート】の転移先を自分の家のすぐ近くに設定してしまっていた。


「まあ、ここからどこかに食べに行けばいいか」

「んなことよりあれ、結城の家か?」

青い屋根の二階建ての一軒家を指差し新木が口にする。


「ん、ああ、そうだけど」

「ちょっと寄ってっていいか?」

「あ、なんで?」

「いいだろ別に。減るもんじゃないし」

「そういう問題じゃないだろ」と声に出そうとした矢先、新木が俺の家に向かって駆け出した。


「おい、待てって新木っ」

「へっへーん。一度結城の家に行ってみたかったんだよなーっ。ラッキーっ」

「おいこらっ。勝手にドア開けんなっ」

「お邪魔しまーす!」

「勝手に入んなっ」


新木がガサツだということは知っていたが、まさか他人の家にチャイムも鳴らさず勝手に上がり込むとは思ってもいなかった。

しかも応対した俺の母さんに「こんばんは、あたし結城の友達で新木レイナっていいますっ。十九歳でキャバ嬢やってますっ」と自己紹介したもんだから、俺の母さんが固まってしまっているじゃないか。


「あー、母さんごめんっ。この子ちょっと頭おかしいんだ」

「なんだよ結城、あたしはキャバ嬢って設定だったろ」

「設定とか言うなっ」

アホなのか、こいつ。


「ちょ、ちょっとミサオ、その子はあんたの友達なの……?」

およそ俺のキャラに似つかわしくない友達の登場に困惑した様子の母さんが気を取り直して訊いてきた。


「うーん、まあ友達っていえば友達、かな……」

それ以外に説明のしようがない。


「あれ? 結城ってミサオって名前だったのっ? マジ? 女みたいな名前じゃんか」

「黙れ」

その名前を考えた親の前でよく言えるな。


「ま、まあ友達なんだったら上がってもらったら? 新木さんだっけ? 晩ご飯まだなら食べてく?」

「いいんすかっ? わぁ、さいっこーっ。ありがとうございますお母さんっ」

「いやいやいや……」

「じゃあ新木さんどうぞ。狭い家だけどゆっくりしていってね」

「はーい」

「いやいやいやいや……」


母さんと新木は俺がそこに存在していないかのように振る舞うと家の中に入っていってしまった。

そして一人玄関前で立ち尽くす俺に二階から下りてきた妹が一言。


「虫が入るからドア閉めてよね」



☆ ☆ ☆



「レイナさんってすっごい美人ですよねー。うらやましいなー」

「そんなことないって。ミキちゃんの方が可愛いもん」

「えー、ほんとですかー?」

「わはははっ、今日は賑やかでいいなぁ」

「本当ねぇ、うふふふっ」


いつも通り食卓を囲んで家族四人の晩ご飯のはずがなぜか異物が一人混じっている。

その異物を俺はねめつける。


だが俺の視線にまったく気付かない異物、もとい新木は俺の妹と楽し気に女子トークを弾ませていた。

父さんも母さんも新木がいることに疑問を抱くことなく、まるでそれが当然とばかりににこやかな顔をしている。

これでは俺の方が異物みたいじゃないか。


「レイナちゃん、おかわりいる?」

「あ、いただきますっ」

母さんに訊かれ新木はおかわりなんぞしている。

とても十分前に会ったばかりとは思えない。


「ねぇレイナさんってほんとにお兄ちゃんの友達なんですか?」

妹がまた余計な質問を投げかけた。

父さんも母さんも新木の答えに耳を傾けている。


「うん、そうだよ。四年前からね」

「四年前ってことは……レイナさんが高校生の時?」

「ううん、中学生の時」

「ええー!? お兄ちゃん女子中学生と友達になってたのっ? ヤバっ」

もともと高くないのに妹の中で俺の信用度がさらに落ちる音がした。


「っていうか今キャバ嬢なんですよね?」

「うん、そうだけど」

「もしかしてお兄ちゃんってそこのお客さんだったとかー?」

じと目で俺を見てくる妹。

何かよからぬ勘違いをしているらしい。


「そんなんじゃない。新木、お前それ食べたらすぐ帰れよ」

「えー、いいじゃんまだいてもらっても。レイナさん、ご飯食べ終わったら一緒にお風呂入りましょうよ」

「ああ、別にいいぞ」

「わーい、やったーっ」


……悪夢だ。



結局、新木はご飯を三杯もたいらげそのあと妹とちゃっかりお風呂まで入ってから帰っていった。

帰り際、

「また来てもいいか?」

と訊かれたので俺は全力で否定しておいた。

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