第9話 花々恋歌(1)
再び街の東側商業区にやってきた三人。
「さっきは商業ギルドだけだったもんね~、改めて見ると色んなお店あるんだね~」
「八百屋さんに武器屋さんにポーション屋さん…ケーキ屋さんは…さすがに無いかなぁ」
商業区は他の区よりもさらに人が多く、冒険者や商人はもちろん、マールイッドに住む人も見られる。人とぶつからないものの、視点が低い三人にとっては一軒一軒見ていく形となった。
「あ、教えていただいたお花屋さん、花々恋歌ありましたよ」
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ。まあ、可愛らしいお客様ですね♪ 何かご入り用ですか?」
とても丁寧で落ち着きのある、オレンジ色が特徴なロングウェーブの女性が店員のようだ。
「アリアお姉ちゃんから教えてもらったんです。こちらで生け花を仕入れていると。それで興味を持ちまして、どういうお花があるのか知りたくて来ました」
「そうでしたか。アリアさんにはいつもごひいきして頂いています。今は品数が少なくなってしまいましたが、良ければ見ていって下さいね」
「このお花ってお姉さんが採ってきてるの~?」
「はい、そうですよ。朝早く、まだ魔物が活発になる前に採ってきているんです」
「すごーい!危なくないの?」
「そうですね、たまに襲われることもありますが、多少は戦闘の心得もありますから大丈夫ですよ」
ふと、ミカエルが見つけた時価の文字。
「こちらは?」
「マールイッドですね。街の名前と同じ花で、少し前まではよく採れていたんですが、何故かここ最近は見かけなくなってしまったんです。綺麗な黄色の花で、花びらが無数にあるのが特徴な私も大好きな花です。冒険者ギルドにも、もし見かけたら連絡を下さいとの旨をクエストとして登録して頂いているのですが、未だに音沙汰が無く、今や高級な花になってしまいました」
ピコーン!
アマテラスにある考えが浮かぶ。