第66話 王都(1)
部屋を出て階段を下りる。するとそれに気づいたアリアがやってきた。
「お出かけ?」
「うん、王都の魔導書のお店に行ってみようと思って」
「今日から先生になるんだもんねぇ、それの準備かな?」
「そんなとこ~、魔導書ってどんなものかなって~」
「アリアお姉ちゃんは魔導書について何か分かりますか?」
「うーん、冒険者は大抵お世話になってるんじゃないかな。魔法の習得には欠かせないものだって聞くし」
「冒険者も魔導書で魔法を覚えるんだねー」
「やはり高額なものなのでしょうか?」
「高いものも比較的手に入りやすいものもあるって聞いたかな」
「あれ?イリアから聞いた感じだと魔導書自体が高いものって雰囲気だったけど、ちょっと違うのかな~」
「早速行って見てみようよ!」
「あ、そうだ~、アリアお姉ちゃん、王都って大型ポータルから行ける~?」
「うん、行けるよ。移動費はそんなにかからないかな」
「分かった、ありがとう!行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
小春日和を出て街の北側にある大型ポータルに向かう。昨日の同じ時間には露店が立ち並び通行人が多かったが、今日は少なく感じる。大型ポータルに着き、案内役の人に王都までと伝える。
「お一人3銀貨になります」
「はい、9銀貨」
「ありがとうございます。ではこちらのポータルにどうぞ」
ポータルに乗り視界が光に包まれた後、すぐに景色が鮮明になる。見渡すとマールイッドの大型ポータルに比べてかなり広い。周りをキョロキョロしながら王都の大型ポータルを後にする。
「凄く広いねぇ、さっきの大型ポータルもマールイッドのとこの倍くらいあったよね」
「中心都市らしいところですね」
「さて~、まずは魔導書のお店がどこにあるのか聞かないとね~」
「冒険者ギルドや商業ギルドがあればいいんだけど、まずは大通り歩いてみよっか」
大型ポータルを離れ通りを歩く。気づくのはマールイッドと比べ道幅が広い。通行人が多い。建物が大きい。
「うわぁ、なんか全部が大きいねぇ!」
「ギルド探すのも大変かも~」
「あそこはどうですか?おそらく神殿ではないでしょうか」
柱が立ち並び、柱の上には炎が灯されている。建物はマールイッドの神殿と似て、白石で建てられ装飾が施された荘厳な雰囲気だ。
「確か王都の神殿はみーちゃんを象徴としてるんじゃなかったっけ~」
「ところどころに炎が灯ってるもんねぇ」
「なんだか少し照れてしまいますね」
中に入ってすぐ目に入るのは、天使が描かれた大きなステンドグラスと、翼を広げ剣を携えた凛々しき女性の像。建物の中央には大きな聖火台があり、巨大な炎が灯っている。聖火台の前に佇む神官らしき女性に声をかける。
「こんにちはー」
「こんにちは。お祈りですか?」
「いえ、王都は始めてで道を訪ねたいんです」
「そうでしたか。王都は広く迷いやすいですからね。どちらに行く予定ですか?」
「魔導書のお店なんだけど」
「ああ、それならここから少し南に行くと交差している道に出ますのでそこから西へ行ったところにありますよ。本のオブジェクトが目印の建物ですから途中で気づくかと思います」
「分かった~、ありがと~」
「あなた方にもミカエル様のご加護がありますように」
「ところでこの像の女の人ってミカエル様?」
「はい、そうですよ。炎と正義を司る凛々しきお姿をかたどった像なんですよ」
「ふふっ、そうなんですね。それではありがとうございました」
「???はい、また何かありましたらご利用下さいね」
神殿の外に出て、教えられた通り南に向かう。
「あはは!みーちゃんに全然似てなかったよ!あの像」
「ふふっ、でも美化されていて嬉しかったですよ」
「きっとあーちゃんも像があったら美化されてると思うよ~」
少し歩くと交差している道に出る。
「ここが交差してるとこだね~。ここを西っと~」
「あ、もう見えた!本のオブジェクトがあるよ、あの建物」




