第41話 夕食(2)
小春日和に戻ると夕食どきになっており、多数の冒険者で賑わっていた。アリアは忙しそうに広場を行き来している。三人はアイコンタクトでアリアに挨拶し部屋に直行する。
「今日は色々あったよねぇ」
「南門襲撃から勇者パーティー、魔具や聖剣など様々でした」
「あれ~?そういえば魔具は分かったけど、お風呂は解決してないよね~?」
「「…」」
「そういえばそうだったね…、お風呂屋さん教えてもらう?それとも今日も作戦部屋に一旦戻ろっか?」
「「作戦部屋で~」」
「それじゃご飯の前に入っちゃおっか」
…、
…、…、
「ふぅ、さっぱりしたー」
「夕食の時間は少し過ぎましたね、一階に降りてみましょうか」
部屋から一階に降りようと階段を下る。その途中で一階の賑わいが聞こえ、まだ大勢の人がいると感じさせる。
「昨日はこのくらいの時間で人が減ってたけど、今日はまだ多いみたいだね」
「これも黒い魔物問題が解決したからなのかな~」
階段の途中でUターンして部屋に戻る。
「明日は陽の日で、露店商が来るって話だったよね」
「露店商にも興味がありますけど、一番の目的は白砂糖を扱ってるロイヤルショップですね」
「味も気になるし、もし店主が製造方法を知らない場合に備えて少し買っておくのがいいかもね~」
「買っておけば時を遡って製造方法を視ることができますしね」
「お風呂はどうしよっか?」
「う~ん、せめて温水になるように熱を出す魔具を作る~?」
「お風呂場作っちゃうのは簡単なんだけどねぇ」
「お風呂場は突拍子過ぎますし、やはり魔具からですかね」
話していると、コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
「はーい、…あれ、アリアお姉ちゃん?」
「今日はお客さんいっぱいで広場に座れないでしょ?お部屋でいいなら持ってきてあげるけど、どうかな?」
「うん、ありがとう!ビーフシチューがいいな」
「うん、それじゃちょっと待っててね」
「まだお客さん多いんだね~」
…、
…、…、
少し経った後、コンコンと再びノック音が鳴る。
「お待たせ、こっちに並べるね」
「アリアお姉ちゃんありがと~」
「今日はずいぶんお客さん多いみたいだけど?」
「うん、黒い魔物が居なくなって久々に依頼をこなした人が多くてね。勇者パーティーに乾杯!って、今でもやってるのよ」
「あー、それはまだまだ続きそうだね~」
「お客さんが楽しくしてるのは嬉しいんだけどね」
「少しお疲れですか?」
「ふふっ、こんなに賑やかなのも久々だから、ちょっとだけ疲れちゃったかな。それじゃまた戻るね。食べたら食器とかは部屋の外に置いておいていいからね。料金も明日にお願いしようかな」
「はーい、お姉ちゃん無理しないでね」
「ふふっ、ありがと!それじゃちょっと早いけどおやすみ」
「おやすみなさい」
夕食のビーフシチューを平らげ、言われた通り部屋の外に食器を置く。その間も一階の盛り上がっている声は絶えなかった。光の魔具に魔力を通し、淡い光が部屋を照らす。三人はそれぞれのベッドに入り眠りに落ちた。