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第40話 神殿(1)

「街の北側って初めて行くよね。何があるんだっけ?」


「北区は貴族の住居だと聞きましたね」


「ここの貴族って何してる人なんだろうね~」


中央噴水広場から北大通りを歩く。他の大通りに比べて人通りがまばらだ。少し進むと大きな建物が目に入る。無数の柱とそれに沿って流れる水が特徴的な荘厳な建物だ。


「神殿、この建物っぽいね~」


「いかにも神殿って感じ」


「中に入ってみましょうか」


入口から建物の中心には赤い絨毯が敷かれ、中央には天使の像が立っている。一番奥には大きなステンドグラスがあり、こちらにも天使が描かれている。ところどころで水が流れ、光と水が織り成す空間になっている。天使の像に向かって祈りを捧げる人もおり、中央には見慣れない服を着た人が立っている。


「あの中央の人がシスターさんかな?」


中央に進み声をかける。


「こんにちは~」


「こんにちは。あなた方にも神のご加護がありますように」


「ここのシスターさん?」


「はい、そうですよ。何かお困りでしょうか?」


「いえ、神殿を初めて訪れたもので」


「そうでしたか。初めて訪れてみた感想はいかがですか?」


「こんなに水が流れてるとは思いませんでした」


「そうですね、こちらはガブリエル様を信仰しておりますから、水が主体に建物が建てられているんですよ。そのため水の神殿と言われることもあります」


「ほへ~、じゃあ火の神殿とかもあるの~?」


「はい。王都にミカエル様を信仰とした火の神殿があります」


「ひそひそ(良かったねみーちゃん、信仰されてるってー)」


「ひそひそ(なんだかこそばゆい感じですね)」


「神殿って主に冒険者が戦闘不能になったときに送還されるところだよね?」


「はい。信仰の場でもあり、冒険者の皆さんにはセーフティーゾーンとして利用されていますね。…話していたらやってきたみたいです」


無数の光の玉が神殿内に漂い始め、ガブリエル像の前に収束していく。光が収まると二人の冒険者がぐったりしながら姿を現した。


「大丈夫ですか?」


シスターが二人に話しかけ、回復魔法をかけている。


「戦闘不能になるとあんな感じで復活するんだねー」


「ただ衛兵のお姉さんも言っていた通り、しばらく全快とはいかないようですね」


「あの像もある意味魔具になるんだろうね~。自分の魔力を登録しておいて、倒れたら像の前に転送、復活する仕組みかな~」


回復した冒険者の二人はやや重い足取りで神殿を後にする。


「ふぅ、こうして冒険者の皆さんは再び達成できなかった依頼に行ったり、冒険者ギルドに依頼失敗の報告をしたりするわけです」


「一日にどのくらいの人が戦闘不能で神殿に来るの?」


「多くて十人ほどですね」


「十人も来たら回復魔法かけるの大変そう」


「ふふっ、確かに大変ですが、これも私の仕事ですから」


一通り話し、シスターのお姉さんにお礼を言い神殿を後にする。


「また、いつでもお越しくださいね」


…、

…、…、


「それじゃあ小春日和に戻ろっか」


「そうですね、部屋で休んでご飯にしましょうか」


一同は小春日和に向かう。


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