第21話 南門攻防戦(2)
透明化に音遮断、探知遮断を付けて南門の外、上空10メートルほどにテレポートしてきた三人。
「おー、戦ってるねぇ!」
「どうやらステルスレベル4で、今のところ感知した人は居ないようです」
「それじゃあ~ちょっと傍観しよっか~」
南門付近に十数匹の魔物と、貴族の兵である貴族院の人達、冒険者の人達が対峙している。魔物は黒い狼ブラックイーター、黒い熊ブラックベアが混合し、数匹で一パーティーとなって冒険者達を襲っている。一方貴族院と冒険者のパーティーは元々組んでいる面子で固まっているため、やや連携がとれていない。
「あの黒い狼みたいなの、あれ花畑で襲ってきたやつだよね」
「そうみたいですね、それが数匹と、黒い熊が二匹のようです」
「狼同士もだけど~、熊も狼と合わせて連携するね~」
「すごい器用だよね、ここの世界の魔物はこれが普通なのかな?」
「連携には連携で対応するのが定石ですが、人側が対応できていないように見えますね」
「それでも数では有利だから、戦力差は無いみたいだね~。一進一退な感じ~」
「あ、こっちの盾役の人が崩れそう!」
ブラックイーターが構えた盾の隙間に入り足を捉える。体勢が崩れたところに上からブラックベアが猛攻を仕掛け、盾役の冒険者が倒される。慌てて後方の冒険者二人が回復魔法と攻撃魔法で応戦するがブラックベアは倒れること無く盾役の冒険者に追撃を加えるべく腕を振り上げる。そこに貴族院の騎士が割って入る。
「あ!あの人、南門のお姉さんだよ!」
追撃を受けきったことでブラックベアに硬直が現れる。そこを見逃さず槍撃、弓撃、魔法を叩き込む。グラッとブラックベアの身体が崩れ光の粒子となり消えた。これでブラックベアは残り一匹となった。
「大丈夫そうだね~、熊が減ったことで大きく戦力が傾くだろうし、魔具屋さん行く~?」
「そうですね、おおよそこちらの冒険者や騎士の方々の実力、魔物の強さも見られましたし」
「それじゃあ一旦小春日和に戻ろー!」