第20話 朝食(1)
「アリアお姉ちゃんおはようー!朝ごはんできる?」
「おはよう。うん、できるよ、ちょっと待っててね」
アリアは厨房に行き調理し始めるが、やや表情が固い。
「ひそひそ(アリアお姉ちゃん、ちょっと不安なのかな、いつもより元気無いみたいだし)」
「ひそひそ(多くの冒険者が参加するみたいですし、常連さんが危険に挑むのを心配しているのではないでしょうか)」
少し待った後、三人分の朝食が運ばれてきた。トースト、ジャム、スクランブルエッグ、ソーセージ、ミルクと、短時間ながらしっかりと準備されている。
「いただきまーす!」
「アリアお姉ちゃん、朝食代は~?」
「ううん、宿泊してくれた人には無料にしてるの」
「そうなんだ、あれ?そういえば他に誰も居ないけど…」
「他の人達は冒険者ギルドに行っちゃったよ。南門の件もあるし、今日はより早く出かける人が多くてね」
「こういうことってよくあるの?」
「ううん、街の近くまで凶暴な魔物が来たことは無かったよ。ちょっと不安だよね…ところで、今日は魔具屋さん巡りするのかな?」
「うん、そのつもり~」
「見てるだけでも面白い魔具もあるから、楽しんできてね」
朝食を済まし、一旦部屋に戻った三人。
「さて~、そろそろ始まったかな~?」
大規模サーチを展開し、南門の付近を観察する。
「お~、居るね~、人の方が魔物の数より多いね~」
「数では勝っていますが、討伐速度が遅いようですね。苦戦しているのでしょうか」
「よーし、ステルスして南門にジャーンプ!」